製品出荷までの流れ

製品の出荷は、次のような流れで行われる。

 

 

医薬品製造 出荷

 

仮保管

 

 包装工程で包装された製品に試験中のラベルを貼り、仮保管する。

 

 仮保管は、試験に合格して正式に受け入れられるまでの一時的な保管である。

 

 この仮保管場所は本保管場所と明確に区別する。部屋、棚、場所を変えることが望ましい。

 

医薬品製造 出荷

 

 さらに、区画棒、色分け、表示分けをして、仮保管品が間違って出荷されることがないように工夫する。 

 

合格ラベル貼付

 

 製品試験結果の合格を確認したら試験合格ラベルを貼付し、本保管とする。

 

 もし試験結果にOOS(規格外試験結果)が発生すれば、製品を直ちに不合格品置場に移動させ、規格外ラベル(不合格ラベル)を貼付する。まちがってもOOS品が出荷されることがないようにする。

 

製品の出荷承認

 

 出荷は、QA(品質保証部)の出荷承認が得られた製品のみ出荷する。

 

 QAは、下記のように出荷依頼書をはじめ数多くの記録書や報告書をチェックして、当該ロットの品質にまちがいがないことを確認する。

 

 

 

 <出荷承認時に確認する書類>

 

 ・出荷依頼書

 

 ・製造記録書

 

 ・ラベル管理記録

 

 ・分析証明書

 

 ・試験管理記録書

 

 ・設備洗浄記録書

 

 ・環境管理記録書

 

 ・(必要に応じて)逸脱報告書、異常報告書 等

 

 

 尚、すでにQAによる照査/承認が行われている記録書や報告書の再チェックは省略してもよい。

 

 すべての記録書と報告書にまちがいがなければ「出荷可」のラベルを貼って、出荷承認作業を終える。

 

 この出荷承認は大変重要な作業であり、チェックリストを作成して、ロットごとに記録を残す。

 

製品の保管環境

 

 出荷までの製品の保管環境は、次の点に注意する。

 

 

 

 ・出入り制限を行う(入出者台帳、自動記録式カード施錠管理など)

 

 ・防虫対策(飛来虫、歩行虫の防止対策など)

 

 ・温度、湿度管理

 

 ・清浄度管理(空中微粒子など)

 

 ・微生物 等

 

 

 設定は、安定性試験結果などを参考にする。

 

製品の管理に必要な文書

 

 製品の管理に必要な文書例を次に示す。

 

 管理作業に関係するGMP文書、SOP、各種記録書、管理文書が必要である。

 

 

 

 <GMP文書>

 

 ・製品標準書

 

 ・不純物プロファイル

 

 ・安定性試験報告書

 

 <SOP>

 

 ・製品の管理手順(総論)

 

 ・製品の識別番号およびロット番号のつけ方

 

 ・製品用ラベル

 

 ・製品の試験方法

 

 ・製品の包装、梱包の方法

 

 ・製品の入庫、保管、出荷の手順

 

 ・製品の在庫管理

 

 ・製品の配送

 

 ・製品のサンプリングと保管の環境

 

 ・製品リテスト期間の設定

 

 ・不合格製品および期限切れ製品の取扱い

 

 ・製品の返品品、回収品の受入手順

 

 ・製品の安全性と危険性

 

 <記録書>

 

 ・製品ラベル台帳

 

 ・製品の保管、配送台帳

 

 ・製品の返品、回収、廃棄台帳

 

 ・配送業者との交信記録

 

 <管理文書>

 

 ・製品品質規格書

 

 ・製品リスト

 

 ・製品仕様書

 

 ・製品委受託製造契約書、覚書

 

 ・配送業者との契約書、覚書

 

 ・商社、代理店との契約書、覚書

 

 ・MSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質安全データシート)

 

 

出荷

 

 これらの段階を経て、製品は出荷準備が整った状態で適切な輸送手段を使って配送される。

 

 製品の性質や安全性に応じて、適切な輸送手段が選択され、輸送の手配が行われる。

 

 特に温度管理が必要な場合は、冷蔵輸送などが行われる。

 

 また、製品が出荷される前に最終的な検品が行われる。正しい数量と品質が確認され、輸送前の最終確認が完了する。

 

 医薬品の出荷準備は、品質と安全性を確保するために非常に重要な段階である。