製造記録書に試験管理記録書、包装記録書、ラベル記録書等、当該ロットに関係する製造および試験の記録すべてを「ロット記録書」という。
ロット記録書の照査、承認は製品の出荷判定につながるもので大変重要な作業である。
工程記録書や中間体の製造記録書は、照査を製造部門に委託することができるが、重要工程以降の記録書の照査はQA(品質保証部)が行う。
ロット記録書に含まれるデータやサンプルが、品質管理が指定した試験や検査に合格するかどうかが確認される。これには物理的な試験、化学分析、微生物学的検査などが含まれる。
逸脱およびOOS(Out of Specification:試験結果の逸脱)が発生していれば、それらの原因調査の結果もロット記録書に加える。
逸脱およびOOSが発生していないときは「逸脱およびOOSの発生はなかった」と記載する。
照査、承認の実施方法は、SOP(標準作業手順書)を作成しあらかじめその手順を定めておく。
照査は記録書の内容の正しさを確認することであり、承認は記録書内容の正当性を認めることである。
次に、照査と承認の実施内容を示す。
<照査の意味>
証拠に基づいて記録書内容の正しさを確認すること
<照査の確認事項>
・記入漏れ調査
・誤記、修正の正しさ確認
・記入文、付記事項の正しさ確認
・生データとの関係を調査
・計算、記入数字の状況確認
・作業時間遵守の確認
・逸脱、OOS処理の確認
・結論の正しさ確認
<承認の意味>
記録書が「正当」であると認めること
<承認の確認事項>
・SOP遵守を確認
・作業、監督者の資格を確認
・確認、照査者の適格性を確認
・データ改ざんがないことを確認
・逸脱、OOS承認終了を確認
・関係者への連絡状況を確認
・契約書、法律、ガイドライン、GMPの遵守を確認
照査者は、社内に対して照査した文書内容に責任を持ち、承認者は社外に対して承認した文書に責任を持つとも言い換えることができる。