医薬品の種類・分類

医薬品の種類は大きく分けると、「医療用医薬品」「市販の医薬品」(OTC医薬品)に分けられる。

 

医療用医薬品

 

 医療用医薬品は、医師が患者さんそれぞれの症状に応じて処方し、薬局で調剤して患者に渡されるものである。

 

 

 ・医師が用いる薬

 ・医師(医療機関)からもらう薬

 ・医師(医療機関)のみ処方を許された薬

 

 

 市販の医薬品より効き目が強い分、副作用が現れることもあるので、医師や薬剤師の説明をよく聞いて服用する。また、他の人に薬をあげてはならない。

 

OTC医薬品

 

 OTC医薬品とは医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアなどで自分で選んで買える「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のことである。

 

 英語の「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語で、対面販売でくすりを買うことを意味している。

 

 これまで「大衆薬」や「市販薬」とも呼ばれてきたが、最近、国際的表現の「OTC医薬品」という呼称が使われるようになった。

 

 薬局や薬店で販売されている市販の医薬品は、一般の人が自分の判断(セルフメディケーション)で使うもので、正しく使えば副作用は比較的少ない医薬品である。

 

 市販の医薬品は、成分の副作用のリスクや市販品としての新しさなどから分類されている。

 

医薬品の分類 対応する専門家 インターネット販売の可否
要指導医薬品 薬剤師 × ※スイッチ直後品目(劇薬)
第1類医薬品
(特にリスクが高いもの)
薬剤師 H2ブロッカー、一部の毛髪用薬など
第2類医薬品
(リスクが比較的高いもの)
薬剤師又は登録販売者 主なかぜ薬、解熱鎮痛薬など
第3類医薬品
(リスクが比較的低いもの)
薬剤師又は登録販売者 主な整腸薬、消化薬・湿布など
医薬部外品 一般小売店でも販売可能 育毛剤、殺虫剤、ビタミン剤など

 

・要指導医薬品

 

 OTC医薬品として初めて市場に登場したものでは慎重に販売する必要があることから、販売に際して、薬剤師が需要者の提供する情報を聞くとともに、対面で書面にて当該医薬品に関する説明を行うことが義務付けられている。

 

 そのため、インターネット等での販売はできない。店舗においても、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすることとされている。

 

・ 第1類医薬品

 

 副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。

 

 店舗においても、生活者が薬剤師の説明を聞かずに購入することがないよう、すぐには手の届かない場所に陳列などすることとされている。販売は薬剤師に限られており、販売店では、書面による情報提供が義務付けられている。

 

・ 第2類医薬品

 

 副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもの。

 

 またこの中で、より注意を要するものは指定第2類医薬品となっている。第2類医薬品には、主なかぜ薬や解熱剤、鎮痛剤など日常生活で必要性の高い製品が多くある。専門家からの情報提供は努力義務となっている。

 

・ 第3類医薬品

 

 副作用、相互作用などの項目で、第1類医薬品や第2類医薬品に相当するもの以外の一般用医薬品。

 

・ 医薬部外品

 

 効果・効能の認められた有効成分が含まれているが、人の体に対する作用が穏やかなもので、日常的な不快感の緩和を目的とする育毛剤、入浴剤などが該当する。

 

 比較的安全性が高いと判断され、医薬品から移行した整腸薬などの「指定医薬部外品」もこの区分である。

 

要指導医薬品・一般医薬品と医療用医薬品との違い

 

項目 要指導医薬品・一般用医薬品 医療用医薬品
定義 ・処方箋なしで購入可能な医薬品(リスクレベルに応じて分類される)
・薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用される
・医師の診断に基づき処方箋が必要な医薬品
・医師・歯科医師によって使用され、又はこれらの者の処方箋若しくは指示によって使用される
購入条件 ・要指導医薬品: 薬剤師の対面指導が必要
・一般用医薬品: 自己判断で購入可能(リスクによって薬剤師・登録販売者の関与が必要な場合あり)
・医師の診断による処方箋が必要
・薬局でのみ購入可能
販売場所 ・薬局、ドラッグストア、インターネット販売(要指導医薬品はネット販売不可) ・薬局のみ
※ドラッグストアやインターネットでは販売不可
販売者の資格 ・要指導医薬品: 薬剤師のみ販売可能
・一般用医薬品: リスクに応じて薬剤師または登録販売者が販売
・薬剤師のみが販売可能(処方箋に基づく調剤業務)
価格設定 ・市場原理に基づく自由価格(一般用医薬品) ・保険医療制度に基づく薬価基準により設定される
・薬価は、原価計算や効果の似た薬との価格の比較、海外価格との比較などを総合して計算される
使用方法 ・注射等の侵襲性の高い使用方法は用いられていない
・人体に直接使用されない検査薬も、検体の採取に身体への直接のリスクを伴うもの(例:血液を検体とするもの)は認められていない
(手引きに記載なし)
用量 あらかじめ定められた用量に基づき、適正使用することによって効果を期待する 診察後、患者の容態に合わせて処方量を決めて交付する
効能効果の表現 一般の生活者が判断できる症状(例:胃痛、胸やけ、むかつき、もたれ)で示されている 診断疾患名(例:胃炎、胃・十二指腸潰瘍)で示されている
対象疾患 ・医療機関を受診するほどではない体調不良や疾病の初期段階で使用される
・医師の診療によらなければ一般に治癒が期待できない疾患(例:がん、心臓病)に対する効能効果は認められていない
中程度から重度の疾患や複雑な病状に対応する治療
・要指導医薬品: 一部のスイッチOTC薬、毒薬・劇薬など
・一般用医薬品: 解熱鎮痛薬、胃腸薬、ビタミン剤など
抗生物質、抗がん剤、高血圧治療薬、インスリンなど

 

 医療用医薬品は医師の診断に基づき厳密に管理されるのに対し、要指導医薬品・一般用医薬品は消費者が自己判断で使用できる範囲で販売される。

 

販売者における規制の違い

 

 販売者における販売可能な医薬品を次に示す。

 

項目 医療用医薬品 要指導医薬品 一般用医薬品
薬局
店舗販売業 ×
配置販売業 × × ○(配置販売品目基準に適合するもの)
卸売販売業