医薬品の定義

医薬品の定義とは!?

 薬機法第2条第1項では、医薬品の定義が次のように3つ規定されている。

 

 

 

 医薬品とは、以下のいずれかに該当するものを指す。

 

 1.日本薬局方に収められている物

 

 「日本薬局方」は、日本で医薬品として認められる基準書で、品質や純度などが規定されている。

 

 これに収載されている物は、医薬品とみなされる。

 

 2.疾病の診断・治療・予防に使用されることが目的とされる物

 

 人または動物の疾病の診断、治療、予防を目的として用いられる物。

 

 例: ワクチン、治療薬、検査薬など。

 

 3.身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされる物

 

 人または動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とした物で、疾病の診断・治療・予防に該当しないもの。

 

 例: ホルモン補充剤、避妊薬など。

 

 

 薬機法のこの規定により、医薬品としての基準を明確にし、適切な管理のもとで製造・流通・使用が行われるようにしている。

 

【補足】日本薬局方(にほんやっきょくほう)とは!?

 

【日本薬局方の補足説明】

日本薬局方とは!?
-日本薬局方とは、厚生労働大臣が医薬品の性状及び品質の適正を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、保健医療上重要な医薬品(有効性及び安全性に優れ、医療上の必要性が高く、国内外で広く使用されているもの)について、必要な規格・基準及び標準的試験法等を定めたものである(薬機法第41条第1項より)
-厚生労働大臣は、少なくとも十年ごとに日本薬局方の全面にわたって薬事・食品衛生審議会の検討が行われるように、その改定について薬事・食品衛生審議会に諮問しなければならない(薬機法第41条第2項より)
-日局に収載されている医薬品の中には、一般用医薬品として販売されている、又は一般用医薬品の中に配合されているものも少なくない
日本薬局方の目的
-日本薬局方の目的は、医薬品の性状や品質を適正に保つこと。
-医薬品の品質、純度、強度(効能効果)、製造方法などについて統一基準を示し、医薬品の信頼性を確保すること。
-医療現場で安全で効果的な医薬品を提供するための指標となる。
日本薬局方の収載品目
-保健医療上重要な医薬品、すなわち有効性及び安全性に優れ、医療上の必要性が高く、国内外で広く使用されているものが対象となる。(例: 抗生物質、解熱剤、注射薬など)。
-医薬品に関連する中間体や原料物質も含む。
-2023年時点での日本薬局方に収載されている品目数は約2000品目である。
-収載の例:アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)、アンピシリンナトリウム(抗生物質)、イソフルラン(麻酔薬)
日本薬局方の品質試験の基準
-各医薬品の性質や特性に基づいた試験方法を詳細に記載。例: 純度試験、溶出試験、含量測定。
日本薬局方の改定
-日本薬局方は科学技術の進歩や医薬品の使用実態に応じて、約5年ごとに改定される。
-世界保健機関(WHO)の国際薬局方や、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)など他国の基準書との調和を図るための取り組みが進んでいる。

 

【補足】疾病の診断・治療・予防に使用されることが目的とされる物とは!?

【疾病の診断・治療・予防の補足説明】

疾病の診断とは!?
-疾病の有無や進行状況を検査または確認するために使用されるもの。例: 血糖値測定用試薬、造影剤(X線やMRI検査で使用される)。
疾病の治療とは!?
-既存の疾患を治癒または軽減させるために使用されるもの。例: 抗生物質(感染症治療)、抗がん剤(がん治療)。
疾病の予防とは!?
-疾病の発症を防ぐために使用されるもの。例: ワクチン(インフルエンザ予防)、経口予防薬。
例外事項
食品や化粧品との区別しており、疾病の診断・治療・予防を目的としない物(例: 健康食品、ビタミン剤)は医薬品には該当しない。

 

【補足】身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされる物とは!?

【身体の構造・機能に影響を及ぼすことの補足説明】

定義の内容
-この部分の定義に該当する物は、疾病の治療や予防を目的としない場合でも、人体の構造や機能に影響を与えることを目的とする製品を指す。
@身体の構造に影響を及ぼす:骨、筋肉、臓器などの身体の物理的な構造を変化させることを目的とするもの。例: 骨粗しょう症治療薬(骨密度を高める)、矯正薬(骨や歯の構造を改善する)。
A身体の機能に影響を及ぼす:代謝、循環、神経、免疫などの生理的な機能を調整または変化させることを目的とするもの。例: ホルモン製剤(甲状腺機能を調節)、血圧降下薬(循環機能に影響)。
具体例
-ホルモン剤。例: インスリン(血糖値調整)、甲状腺ホルモン製剤(代謝調節)。
-循環器用薬。例: β遮断薬(心拍数調整)、利尿剤(体内の水分量調整)。
-神経系に作用する薬剤。例: 抗うつ薬(神経伝達物質の調整)、鎮痛薬(痛覚伝達を抑制)。
-呼吸器用薬。例: 気管支拡張剤(呼吸機能の改善)。
食品や化粧品との違い
-この定義は、いわゆる健康食品や栄養補助食品、さらには美容化粧品と明確に区別されている。
-健康食品や化粧品が「体調を整える」「美肌を保つ」などの目的であるのに対し、医薬品は直接的に身体の構造や機能を変化させる目的がある点が特徴である。
医療現場での重要性
「身体の構造・機能に影響を及ぼす」医薬品は、以下の役割を担っている。
@治療を補助:特定の病気がない場合でも、構造や機能を調整して健康を維持・向上。
A慢性疾患の管理:高血圧、糖尿病などの慢性疾患で必要不可欠。

 

 

厚生労働省「日本薬局方」ホームページはこちら

 

 

厚生労働省「薬機法全文」はこちら