医薬品製造に関わる基礎知識をまとめて紹介します。薬機法改正についてまとめました。
「健康食品」という言葉は、一般的によく使われるが、法令で定義された言葉ではない。
つまり、健康によさそうな食品全般を便宜上、「健康食品」と呼んでいるということである。
また、「健康食品」のうち、保健機能食品や特別用途食品を除いたものが「いわゆる健康食品」である。
「いわゆる健康食品」は、一般食品と同じ扱いになるため、機能性の表示などはできない。
健康食品は、法律上、「食品」に分類され、医薬品のように疾病の治療や予防を目的とすることはできないという制約がある。
医薬品は厳しい品質検査がされている一方、健康食品の多くは製品としての安全性や有効性がほとんどチェックされていない。国民生活センターには、「青汁で体調を崩した」など健康被害情報が絶えない。
病気の人が対象の医薬品は効果が強い一方、眠くなる、のどが渇くなどの副作用を伴う。そのため、医薬品は医師や薬剤師の管理下で使用される。
一方、健康な人が対象の健康食品は、一般的に医薬品と同じような強い効果・副作用はなく、消費者が自由に購入して使用することができる。
しかし、健康食品を気軽に多用するのは危険である。
たとえば体に不可欠なビタミンAも、普段の食事では過剰摂取の心配はないが、健康食品で多量に取ると腹痛、嘔吐の急性中毒症状や胎児の奇形化を起こす可能性が指摘されている。
また、健康食品と医薬品の併用は重大な健康被害を引き起こすことがあり、医師への相談なしでの併用は絶対に避けるべきである。
医薬品と健康食品の主な違いを次表に示す。
項目 | 医薬品 | 一般食品(健康食品) |
---|---|---|
定義 | 疾病の診断、治療、予防を目的として使用される物質。薬機法で規制される。 | 法的基準なし(食品表示法に基づく)。 |
目的 | 疾病の診断・治療・予防、身体機能への影響。 | 健康の維持・増進。 |
規制 | 厳格な法規制(薬機法)。製造、販売、広告に関して厳しい基準がある。 | 食品表示法、薬機法(誤った表示が対象)。 |
品質 | 製品としての品質が一定 | 同じ製品でも品質が一定とは限らない |
対象者 | 病気の人が対象 | 健康な人が対象 |
効能効果の表示 | 科学的根拠に基づく効果を表示可能 | 原則不可(保健機能食品は一部可能) |
具体例 | 解熱剤(アセトアミノフェン)、抗生物質(ペニシリン)、降圧剤(アムロジピン) | プロテイン飲料、青汁、健康茶 |