医薬品製造に関わる基礎知識をまとめて紹介します。薬機法改正についてまとめました。
医薬品・医薬部外品・化粧品の違いは、主に目的・効能効果・規制によって分類される。
区分 | 効果の高さ | 医薬品的な効能・効果の表示 | 製造販売業の許可 | 製造販売承認申請 | 販売業の許可 | 具体例 |
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医薬品 | 大 | 可 | 必要 | 品目ごとに承認 (例外あり) |
必要 | ・解熱剤 ・抗生物質 ・インスリン |
医薬部外品 | 中 | 一部可 | 必要 | 品目ごとに承認 (例外あり) |
不要 | ・育毛剤 ・薬用歯磨き ・薬用石鹸 |
化粧品 | 小 | 不可 | 必要 | 品目ごとに届出 (例外あり) |
不要 | ・化粧水 ・ファンデーション ・香水 |
医薬品の定義と主な規制 |
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疾病の診断、治療、予防を目的としたもの。人体に直接作用し、高い有効性を持つ。 |
・厚生労働省の承認が必要 ・医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき厳しい基準を満たす必要がある ・製造、販売において最も厳しい基準が適用され、臨床試験や承認審査が必要 |
医薬部外品の定義と主な規制 |
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医薬品と化粧品の中間に位置するもので、軽微な薬理作用を持ち、特定の効果が期待できるもの。 |
・厚生労働省の承認が必要 ・医薬品ほど厳しくないが、効果や成分の範囲は法令で限定されている ・効果は事前に規定されており、新しい効果や効能を表記するには厚生労働省の承認が必要 |
化粧品の定義と主な規制 |
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人体を清潔にし、美化し、魅力を増し、健やかに保つことを目的とするもので、薬理作用は持たない。 |
・厚生労働省への届出が必要 ・効能を大きく表現することは禁止されており、安全性が確保されている必要がある ・成分が安全であることが求められるが、医薬品や医薬部外品ほど厳しくない |
まとめると、
医薬品は疾病の治療や予防を目的とし、効果が科学的に証明されている。
医薬部外品は軽度の薬理作用を持ち、特定の効果が認められたもの。
化粧品は美容や清潔を目的とし、薬理作用を持たない製品。
となり、使用目的や効果の範囲が異なる。
カテゴリ | 医薬部外品としての表現 | 化粧品としての表現 |
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化粧水 | ・肌荒れを防ぐ ・日焼け後のほてりを防ぐ |
・肌に潤いを与える ・肌をすこやかに保つ |
乳液・クリーム | ・あれ性を防ぐ ・皮膚を保護する |
・肌を整える ・滑らかな肌に導く |
シャンプー | ・フケ、かゆみを防ぐ ・毛髪を健やかに保つ |
・髪を清潔にする ・ツヤのある髪に仕上げる |
デオドラント | ・汗の臭いを防ぐ ・皮膚汗臭を防ぐ |
・フレッシュな香りを保つ ・爽やかさを感じる |
歯磨き粉 | ・虫歯を防ぐ ・歯を白くする ・口臭を防ぐ |
・口内を清潔に保つ ・さわやかな息に導く |
育毛剤 | ・抜け毛を防ぐ ・発毛を促進する ・ふけ、かゆみを防ぐ |
・髪にハリとコシを与える ・頭皮を健やかに保つ |
日焼け止め | ・紫外線を防止する ・日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ |
・肌を守る ・日焼けを防ぐ |
リップクリーム | ・唇のひび割れを防ぐ ・唇を保護する |
・唇に潤いを与える ・滑らかな唇に導く |
洗顔料 | ・ニキビを防ぐ | ・肌を清潔にする ・スッキリとした洗い心地 |
制汗剤 | ・ワキガを防ぐ ・皮膚の汗臭を防ぐ |
・あせもを防ぐ ・清潔感を保つ |
美白化粧品 | ・メラニンの生成を抑え、シミ、そばかすを防ぐ | ・肌に透明感を与える ・明るい印象の肌へ |
医薬部外品は特定の軽微な薬効が認められるため、具体的な効果を表現できる。
一方、化粧品は美容目的で、効果を明示的に記載することが制限されており、ぼかした表現が使われる。
医薬部外品も化粧品も、「〇〇を防ぐ」という効能効果があるが、同じ「防ぐ」の表現でも、意味合いが異なることがある。
例えば、医薬部外品の場合、「殺菌成分や抗炎症成分などによりトラブルを防ぐ」旨の表現が可能である。
しかし、化粧品の場合、「毛髪や肌などを保護(コーティング)することでトラブルを防ぐ」、もしくは、「物理的に洗浄することでトラブルを防ぐ」ものである。