医薬品の法律用語の違い

法律用語「許可」「承認」「届出」の違いとは!?

 
 日本の医薬品に関連する法律用語「許可」「承認」「届出」の違いを表に示す。

 

【「許可」「承認」「届出」の違い】

 

用語 定義・特徴 目的 規制の強さ 例(医薬品分野)
許可 ・行政機関が特定の事業活動や行為を行う資格を与える
・法令などで禁止されている行為を、行政機関が禁止を解除するもの
・条件を満たした上で審査を経て取得が必要
公衆衛生や安全性の確保 強い ・医薬品製造販売業許可
・医薬品製造業許可
・薬局開設許可
承認 ・特定の製品や行為について、その内容や基準が適切であることを行政機関が認める 医薬品や製品の有効性・安全性の確認 強い ・新医薬品の承認
・ジェネリック医薬品の承認
・再生医療等製品の承認
届出 ・特定の事項について、行政機関に通知する義務があり、審査を伴わない場合が多い
・行政庁は原則として記載事項を確認し、受理にとどまる
状況や事業の把握 弱い ・医薬品輸入届出
・製造販売業の軽微変更届
・不良品や自主回収の届出

 

 「許可」「承認」「届出」は、日本の医薬品に関連する法制度において、それぞれ異なる目的と手続きを持つ重要な制度である。

 

 許可は業務資格、承認は製品評価、届出は情報提供に重点を置いており、それぞれの制度が医薬品の安全性と適正利用を支えている。

 

「製造業」「製造販売業」「販売業」の違いとは!?

 
 「製造業」「製造販売業」「販売業」これらの許可は、名前が似ているがそれぞれ別の業態である。

 

 以前は、製造販売業の許可がなく、製品流通後の責任は「製造業」が負っていた。しかし、1つの製品に関わる製造業が多数あるため、責任の所在が曖昧であった。これを解決するために誕生したのが「製造販売業」である。

 

 次に、これらの違いを表に示す。

 

【「製造業」「製造販売業」「販売業」の説明】

製造業
・医薬品を実際に製造または加工する。
・製造工程での品質管理や、製造管理基準(GMP)に従った生産が求められる。
製造業者は、直接市場に流通させることはできない。
・製品を製造販売業者に納品する形で取引する。
製造販売業
・市場に出荷する権利と責任を持つ。
・製造を自社で行う場合もあれば、外部に委託する場合もある。
・製造業者から納品を受けた医薬品の品質、安全性、有効性についての最終責任を負う。
・製造販売業者は、新薬開発や臨床試験を行い、厚生労働省から承認を得る役割を持つ場合も多い。
販売業
・医薬品を消費者または医療機関に提供する。
・製造や市場出荷に関与しないため、医薬品の安全性や品質に対する最終責任は負わないが、販売時の適正な取り扱いや法令遵守が求められる。
・医薬品を販売する場合、薬局もしくは3種類の販売業(店舗販売業、配置販売業、卸売販売業)のうち、いずれかの許可が必要である。
・医薬部外品や化粧品を販売する場合、販売業の許可は必要ない。
・一般向けの薬局やドラッグストア、医療機関向けの卸売業者が該当する。

 

【「製造業」「製造販売業」「販売業」の違い】

 

分類 主な役割 特徴 法的責任 具体例
製造業 医薬品を製造する ・医薬品や医療機器を製造、加工する事業
・製品の製造に関する技術や品質管理を担当
製造工程の管理、GMP(製造管理基準)遵守 ・医薬品製造工場
・原薬製造業者
・医療機器組立業者
製造販売業 製品を市場に出荷する ・製品を市場に流通させる主体
・製造工程の外部委託が可能
・製品の品質、安全性を保証
品質、安全性、有効性に関する最終責任 ・ 製薬会社(新薬メーカー)
・ジェネリックメーカー
販売業 医薬品を流通させる ・医薬品を消費者や医療機関に販売する事業
・製造や製造販売を伴わない
販売時の適正管理、法令遵守 ・薬局
・ドラッグストア
・医療機関向け卸売業者

 

 製造業は、製品を製造する役割(GMP遵守が必須)。製造販売業は、市場出荷の責任を負い、品質や安全性を保証する役割。販売業は、消費者や医療機関に医薬品を提供する役割(店舗や卸売)を担う。

 

 それぞれの役割が連携することで、医薬品の安全性と適正流通が確保されている。