GMPとは…医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準で、品質の良い優れた医薬品を製造するための要件をまとめた国際的な指針。
医薬品は、消費者の健康・生命に直接関わるものであるから、その品質の善し悪しはきわめて重要である。そして、どんな偶然の結果によってでも、不良品が消費者のもとに届いてはならない。
体に強く作用する医薬品は、間違いや不正製造は許されないのである。
そこで守るべきルールがGMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)と呼ばれる製造所における製造管理、品質管理の共通基準である。
GMPは、1968年に世界保健機関(WHO)がその制定を決議し、それを受けて各国で制定されている。
次にGMPのポイントを2つ挙げる。
医薬品製造では、各々の製造所が自社基準でどんなに厳しく最終試験・検査をしても、医薬品の製造、販売はできない。
GMPは、薬機法に基づき「医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理に関する基準」として定められ、この基準に適合しなければ医薬品を製造販売することはできない。
日本で医薬品を市場へ出荷すること、即ち、製造販売することは医薬品医療機器等法(薬機法)で規制されており、厚生労働大臣の許可・承認を得る必要がある。
医薬品製造業者は、GMPの規制要件に従い、製品の品質と安全性を確保するための品質管理システムを実装し、適切な製造施設や設備を維持することが求められる。
規制当局は、製造業者がGMPを遵守しているかどうかを監査や審査を通じて定期的に評価し、違反があれば適切な対策を取ることがある。
GMPは原材料の入荷から製造、最終製品の出荷にいたるすべての過程において、製品が安全に作られ「一定の品質」が保たれるよう定められている。
日本のGMPでは、製造業者が製品の品質管理に関するすべての活動を文書化し、記録を適切に管理することが重視されている。
これにより、製造プロセスの透明性が確保され、品質管理の一貫性が維持される。
日本のGMPは、国際的な規格である国際GMPに基づいており、日本の製薬企業が国際市場での競争力を維持するための重要な要素となっている。
GMP省令とは、医薬品および医薬部外品の製造販売承認の要件として、医薬品および医薬部外品の製造所における製造管理および品質管理の基準を定めた厚生労働省令である。
日本では、「医薬品の製造及び品質管理に関する基準」の通知を経て、1980年にGMP省令が公布された。以降、厚生労働省は、医薬品製造に関するGMPの指針を定期的に発行している。
GMPは時代とともに改正されるため、常に新しいGMP省令に適合するよう既存の手順書等を見直すことが必要である。
最近では、最新の国際標準であるPIC/S GMPガイドラインとの整合性をとるため、GMP省令が約16年ぶりに改正され2021年3月に公布、2021年8月1日から施行された。
改正のポイントは@品質保証の充実、Aグローバル対応、B昨今の不正製造問題や承認書との整合性確保の3つで、「品質リスクマネジメント」および「医薬品品質システム」が明示され、より厳格な基準となった。