GMPの3原則とは、誰が作業しても、いつ作業しても、必ず同じ品質・高い品質の製品をつくるための基本要件である。
@「人為的な誤りを最小限にすること」
A「汚染及び品質低下を防止すること」
B「高い品質を保証するシステムを設計すること」
次に、GMP3原則についてソフト面とハード面から具体的内容を示す。
医薬品製造における人為的な誤りを最小限にすることは、品質管理の重要な側面の一つである。
従業員に対して適切なトレーニングと教育を提供することが重要で、製造プロセスや手順に精通していることは、誤りを最小限にするための基本である。
従業員は、製造手順、品質管理規定、安全手順などを十分に理解しておく必要がある。
また、標準化された手順書や作業指示書を作成することで、作業プロセスが明確化され、一貫性が確保される。
従業員は手順書に従って作業を行い、誤りを防ぐことができる。
「人為的な誤りを最小限にする」為に、次のような具体例が挙げられる。
【ソフト(管理面に関すること)】
・各部門に責任者を設け、責任体制を明確化させる。
・標準的な規格及び作業手順を文書で指定しその通り実施する。
・重要な工程は、複数のチェック(ダブルチェック)ができる体制をとる。
・医薬品の品名、ロットNoなど識別表示を実施する。
・作業したことの記録をとる。
・職員へ作業に関する教育訓練を実施する。
【ハード(構造設備に関すること)】
・作業に支障のない広さ、レイアウトの配慮。
・混同防止のための物理的隔離。
医薬品製造における汚染及び品質低下の防止は、製品の品質と安全性を確保するために極めて重要である。
製造施設や作業エリアを清潔に保つことが不可欠で、定期的な清掃や消毒を実施し、微生物や他の汚染源を除去する。
施設と設備の管理には、適切な設備の選択と保守、適切な検査と校正、安全性と品質を確保するための適切な運用が含まれる。
「汚染及び品質低下を防止する」為に、次のような具体例が挙げられる。
【ソフト(管理面に関すること)】
・作業室の清掃、設備の洗浄などの衛生管理を予め設定した手順に従って実施。
・職員に対する衛生教育を徹底すること。
・職員の衛生管理状態を管理すること。
・作業室への関係者以外の立ち入りを制限すること。
【ハード(構造設備に関すること)】
・ちり、粉塵などによって汚染された空気による医薬品への汚染を防ぐための構造設備。
・各作業室の専用化。
・医薬品を変化させない製造設備の材質を選定。
・清掃しやすいものにする。
GMPでは、製造業者が品質管理システムを適切に確立し、維持することが求められる。
これには、品質方針の策定、品質目標の設定、品質マニュアルや手順書の文書化、トレーニングプログラムの実施などが含まれる。
「高い品質を保証するシステムを設計する」為に、次のような具体例が挙げられる。
【ソフト(管理面に関すること)】
・品質部門(品質保証部+品質管理部)と製造部門を分離させる。
・設備、機械器具などの定期的点検・校正のシステムの構築。
・各工程がバリデートされていること。
(製造場所の構造設備や手順、製造管理、品質管理方法が期待される結果となるように確認すること)
・ロットに追跡が最後まで行えるように、作業を実施し、記録を整備する。
・生産計画に対応する試験計画に基づき、計画的に、合理的に試験、検査を実施すること。
【ハード(構造設備に関すること)】
・作業室、機械、設備が、製造工程の順序に従って、合理的に配置されていること。
・必要な試験が適切にできる試験設備を備えていること。
このように基本の3要件を、充たすために守るべき事項について、管理面(ソフト)、構造設備面(ハード)から規定されている。
また、ここに示したGMPは、決して固定化されたものではない。科学技術の進歩を取り入れ、より良い品質を目指してGMPの内容を高めていくこともまた、医薬品製造にかかわる人の使命でもある。