GMP査察の指摘事例は!?

次に、GMP査察の指摘事例を示す。

 

安定性モニタリングについての指摘事例

 

指摘内容 @安定性モニタリングにおいて、不溶性異物試験で規格不適合となったロットが確認された。
Aこの逸脱において、不溶性異物の発生原因が特定されておらず、当該製品が患者に投与された際の有効性及び安全性に与える影響について、評価されていなかった。
B他ロットの参考品を調査した結果、承認規格を満たさない不溶性異物が認められたが、各ロットに対する逸脱処理が行われておらず、不溶性異物の同定や原因究明が行われていなかった。
C当該逸脱について、速やかに製造販売業者へ連絡しておらず、情報共有の遅れにより有効性及び安全性上の問題が生じる前に適切な対応をとることができない状態であった。
結論・今後の対応

・複数の品質システムが各段階で適切に運用されなかったことにより、重大なGMP上の不備に至った事例。
品質システムの各要素の機能的な連携、実施が重要である。

 

医薬品製造

 

設備の共用についての指摘事例

 

指摘内容 @動物用医薬品の原薬中間体(A)の製造工程で、調査対象品目(B)の製造でも使用するコニカル乾燥機を使用していた。
A当該機器の品目切替え洗浄実施時に、スワブから0.003ppm以下、リンス水から約1ppmの(A)が検出された結果を適合と判断して(B)の製造で当該機器を使用した。
B(A)の洗浄バリデーションは実施されておらず、この洗浄が適切か不明であった。
結論・今後の対応

・設備を共用する場合には、原料や中間体等の毒性、洗浄バリデーション、交叉汚染等を検討し、設備を共用しても問題ない科学的妥当性を評価し、あらかじめ文書化しておく必要がある。

 

医薬品製造

 

交叉汚染についての指摘事例

 

指摘内容 @「注射剤用の化成品非無菌原薬」の製造設備において、洗浄済みの表示及び洗浄後であるとの説明もあったが、下記のような表面に目に見える明らかな残留物を調査中に確認した。
A複数の製造タンクに白色の残留物が見られた。
B洗浄済みの遠心機内にジェル状の残留物が見られた。
C配管やバルブから液漏れ、結晶の付着が見られた。
D洗浄工程がバリデートされていることを保証できず、製造設備を共有する原薬間の交叉汚染の可能性が否定できない。
結論・今後の対応

・GMPに係る知識及び遵守意識が欠如している。
・品質を確保するには、製造方法や洗浄方法を予め決めておき、その通りに実施すること。
・年間計画書を作成するなど、定期的な従業員の教育訓練の実施し、従業員の倫理観および規範意識を向上させる。

 

医薬品製造