逸脱は、さまざま原因によって発生する。次に、逸脱発生時の処理の流れを示す。
逸脱が発生すれば、応急処置を実施する以外に、製品への影響を調査して出荷の可否や回収の必要性有無を判断する。
また、直接原因や根本原因を特定し、それらに対して的確で妥当性のある是正処置/予防措置(CAPA)を行う。
逸脱が発生したら5W1Hを踏まえ、内容を上司に報告する。
次に、逸脱報告のポイントを3つ示す。
@事実をありのままにすぐに報告する
日頃と違うところがあれば、直属上司に偽りなくすぐに報告することが大事である。
逸脱かどうか判断しにくい事象でも報告せずにいると、後日、大きな逸脱になってしまう場合もある。
現場の責任者は、作業者の報告を素直に聞き、自分で判断できない場合は、さらに上司に報告する。
そして、重要な事象が品質部門に迅速に漏れなく伝わることが大事である。
情報がどこかで止まり、その結果、出荷間際になってから品質部門に伝わっては遅いのである。
A担当職員は自らの勝手な判断で工程を進めない(ただし、安全上の処置は行う)
トラブルが発生すると、慌ててしまい、自己判断によって復旧を急いでみたりする。
慌てると本来やってはならない動作をやってしまう。また、責任者に現場を確認してもらうことも必要である。
ただし、安全上の問題がある場合や、ほかに被害が拡大しそうな場合には、必要な行動をとらなければならない。
B責任者は3現主義(現場、現物、現実)による事実確認を行う
責任者は現場で現物を見ながら、現実的に検討を進める。
問題が生じれば、事実を元にデータで客観的に定量的に把握し対応することが大事である。
逸脱は、その大きさによりCritical(重大)、Major(大)、Minor(小)などの分け方がある。
あらかじめ定めた判断基準で、品質に与える影響度の大きさを評価し、生じた逸脱をレベル分けする。
また、レベルごとに製造販売業者などへの連絡方法について手順化しておくことは、逸脱措置を円滑に行うために必要である。
逸脱管理の責任者は逸脱状況の把握後、応急処置を指示する。
また、製造販売業者への逸脱内容を通知するかどうかを判断する。
ここで行う応急措置とは、現在発生している逸脱状況に対するものであり、すぐさま講じないといけない措置を意味し、CAPAとは異なる。
例えば、製造工程で中間体を床にこぼした場合の応急措置は、床にこぼれた中間体の回収、こぼれた重量や数量の把握、およびそれらの表示・保管などである。