GMPを違反したらどうなるのか!?

国内のGMP違反事例「抗がん剤原料の製造手順違反」

 

 2019年、K社が抗がん剤の原料などで承認書と異なる手順を用いたことや、定められた設備や機器を正しく使用せずに製造していたことがわかった。

 

 これによりK社は、承認時に定められた方法で製造していなかったとして、医薬品医療機器等法(薬機法)違反により、K社の製造工場が18日間の業務停止・業務改善命令を受けた。

 

医薬品製造 GMP違反

 

 このように、GMPを守らないと業務停止・業務改善命令を受け、医薬品の製造ができなくなる可能性がある。

 

FDA監査でも指摘を受けていた

 

 K社は、業務停止・業務改善命令を受ける数か月前に、FDA(米国食品医薬品局)監査でも指摘を受けていた。

 

 米FDAから医薬品原料の分析試験手順の不備やデータ完全性の確保に関する指摘を受け、製造プロセス全体の調査を行い、複数の品目で承認時に定められた製造手順と異なる製造が行われ、無菌性の確保に影響しうる事実が判明した。

 

 K社は問題が顕在化した以降、自主的に製造を中断し、製造手順の点検・品質影響調査を行うとともに業務改善に取り組んでいた。

 

 問題になった原料は18にのぼるが、同剤以外の製品については、品質や安全上に問題がないと確認しているという。

 

責任者の責任明確化求められる

 

 今回の処分理由は、医薬品製造販売承認書、原薬等登録簿または輸出用医薬品製造届けと異なる製造方法で医薬品の製造を行ったためである。

 

 違反に至った原因を究明し、医薬品の製造管理・品質管理において薬機法18条第2項に基づくGMP省令、その他関連法令を順守するよう組織体制を見直し、改善のための是正措置、再発防止策(CAPA)を講じることを求められた。

 

 

 

 <具体的に求められる是正措置、再発防止策(CAPA)>

 

@違反行為について、経営層を含めた各責任者の責任を明確にする

 

A医薬品製造管理者が薬機法・GMP省令等に基づく管理を適切に行える体制とする

 

B製造管理、品質管理を適正かつ円滑に実施し得る能力を有する責任者を適切におき、適切に管理を行わせる

 

C製造管理、品質管理にかかわる業務に従事する職員に対し、継続的に必要な教育訓練を行い、薬機法及びGMP省令を遵守させる

 

 

再発防止へ

 

 K社は再発防止に向け、弁護士など第三者が主導する調査委員会を立ち上げ、原因究明に注力した。

 

 グループ調査委員会では、医薬品60品目全てにおいて、合計約2300件の標準作業手順書(SOP)と製造実態の不整合が発見され、その一部は承認書等とも不整合が生じていたことが明らかとなった。

 

 今後、医薬品原料を製造している会社としてGMP遵守、各種薬事規制遵守の徹底を図り、従業員ひとりひとりが再発防止に向け真摯に取り組むことで、社会からの信頼回復に最大限努めるとしている。