医薬品原薬とは、医薬品の成分のなかで、目的とする効果を示す成分のことで、医薬品の有効成分といわれるものである。
市販されている医薬品には含有されている成分が記載されているが、そこに表示されているものが原薬である。
原薬には高い品質と有効性、安全性が要求される。
医薬品の品質を確保するため、原薬の製造に関しては十分な管理が必要となっている。
原薬は、医薬品であるが、一般の消費者には販売されず、製剤の原料(製造専用医薬品)として販売されることが医薬品医療機器法施行規則に規定されている。
医薬品原薬(原薬)は、有機合成、発酵、天然物からの抽出等より得られる化学物質であり、医薬品の有効成分として、品質、有効性、安全性が保証されたものである。
開発段階においては、安全や環境を守るための法律である「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」や「労働安全衛生法」の対象となるとともに、医薬品としては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性、安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」の適用を受ける。
医薬品医療機器等法に従い、原薬製造業者は、製造所毎に厚生労働大臣の許可を受ける必要がある。
原薬製造業者は、製造販売業者と医薬品の品質管理の基準であるGQPで定められた取決めをもとに、製造販売承認書の記載内容に従って製造管理及び品質管理の基準であるGMPを遵守して製造を行い、行政当局によるGMP適合性調査及び医薬品製造業許可の定期的な更新を受けることになる。
医薬品の製造販売承認を受けるには、製造販売承認申請書の審査に加え、原薬を含めた医薬品の製造所がGMP省令を遵守して作業を行っているかについて当局が品目毎に該当する製造所の調査を行い、適合と判断されなければならない。
原薬の製造を行うにあたっては、医薬品を対象とした医薬品医療機器等法の他、以下のような法令及び規則等を遵守しなければならない。
1)化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
2)特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、化管法)
3)毒物及び劇物取締法
4)労働安全衛生法
5)作業環境測定法
6)麻薬及び向精神薬取締法
7)覚せい剤取締法
8)アルコール事業法
9)消防法
10)高圧ガス保安法
11)水質汚濁防止法
12)大気汚染防止法
13)土壌汚染対策法
14)悪臭防止法
15)工場立地法
16)特定工場における公害防止組織の整備に関する法律
17)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法、廃掃法)
18)製造物責任法(PL法)
19)遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)
20)外国為替及び外国貿易法(外為法)
21)計量法
22)特許法