鎮咳去痰薬とは!?

鎮咳去痰薬とは!?

 

 鎮咳去痰薬ちんがいきょたんやくとは、咳を鎮め、痰を喉から吐き出しやすくする目的で処方される医薬品である。

 

 

医薬品製造

 

咳が生じるしくみ

 

 気道に吸い込まれた、空気中の汚れや塵、ほこりなどの異物が気道粘膜に付着した場合、通常ならば、気道粘膜の線毛運動によって気道から口の方向に排出され、体内に入らない仕組みになっている。

 

 

医薬品製造

 

 しかし、気道粘膜の線毛運動によっても排出されないとき、それらを排除(一掃)しようとして反射的にせきが出る。

 

 したがって、咳はむやみに抑え込むべきではないが、長く続く咳は体力の消耗睡眠不足をまねくなど悪影響を及ぼす。

 

痰が生じるしくみ

 

 呼吸器官にウイルスや細菌が感染したときや、汚れた空気の中で過ごしたり、タバコを吸いすいたときには、気道粘膜からの粘液分泌が増える。 

 

 

医薬品製造

 

 気道に入り込んだ異物や粘膜上皮細胞の残骸がその粘液に混じってたんとなる。

 

 痰が気道粘膜上に滞留すると呼吸の妨げとなるため、反射的に咳が生じて痰を排除しようとする。

 

鎮咳薬(咳止め)

 

 鎮咳薬ちんがいやく(咳止め) には、大きく分けて中枢性鎮咳薬末梢性鎮咳薬の2種類ある。

 

 中枢性鎮咳剤ちゅうすうせいちんがいやくは、咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制することにより、咳を止める。

 

 末梢性鎮咳剤まっしょうせいちんがいやくは、気管支を拡げて呼吸を楽にすることで、「せき(咳)」や「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)」の症状を鎮める。

 

【鎮咳薬(咳止め)の種類】

薬の種類 成分の種類 効果・副作用
@中枢性鎮咳薬
  ↓
・麻薬性
・非麻薬性
に分類される

・麻薬性
・コデイン
・ジヒドロコデイン
など

 

・非麻薬性
・デキストロメトルファン
・ノスカピン
・ジメモルファン
・チペピジン
・クロペラスチン
・グアイフェネシン
・ペントキシベリン
など

 

・麻薬性は、依存性がある。長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがある。
・非麻薬性は、依存性がない。
・コデインは咳中枢を抑制する。強い鎮咳、鎮静作用があり、軽度の呼吸抑制作用もある。
・ジヒドロコデインは、咳中枢の抑制作用がコデインの2倍強い薬。また、胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがある。
A末梢性鎮咳薬 ・メチルエフェドリン塩酸塩
・ジプロフィリン
・マオウエキス
・ベンゾナテート
など
含嗽薬がんそうやく、局所麻酔薬、去痰薬、気管支拡張薬などがある。

 

 効果の高い順に並べると、「中枢性麻薬性鎮咳薬>中枢性非麻薬性鎮咳薬>末梢性鎮咳薬」となる。

 

  一般に狭い意味の鎮咳薬として扱われているのは咳を出しなさいと命令する咳中枢に作用する中枢性鎮咳薬である。

 

 広い意味での鎮咳薬には、間接的に咳受容体に作用する気管支拡張薬、去痰薬などの末梢性鎮咳薬が含まれる。

 

鎮咳薬(咳止め) OTC医薬品例

 

 鎮咳薬(咳止め)のOTC医薬品例を次に示す。

 

写真

医薬品製造

商品名 パブロンSせき止め(大正製薬)
分類 第2類医薬品
成分 ・ブロムヘキシン塩酸塩 4mg
・ジヒドロコデインリン酸塩 10mg
・ノスカピン 20mg
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩 25mg
・マレイン酸カルビノキサミン 4mg
・無水カフェイン 50mg
(2カプセル中)
効能・効果 せき、たん

 

去痰薬

 

 去痰薬きょたんやくは、痰の排出を容易にする薬である。

 

 去痰薬は、粘液溶解薬粘膜潤滑薬の大きく2つに分類される。

 

 粘液溶解薬は、痰の粘性を低下させることにより、分泌物の喀出を容易にする。

 

 粘膜潤滑薬は、気道に粘液を分泌し、気道内面を湿潤化し、侵入した異物を分泌物と一緒に痰として喀出する。

 

【去痰薬の種類】

薬の種類 成分の種類 効果・副作用
@粘液溶解薬 ・ブロムヘキシン
・アセチルシステイン
・エチルシステイン
・メチルシステイン
・カルボシステイン
・リゾチーム
など
・ムチン結合の開裂などにより痰を溶解し、粘稠度ねんちゅうどを低下させる薬剤。
・ブロムヘキシンは、気管支腺から漿液分泌を促進して痰を希釈するほか、リゾチーム様顆粒(加水分解酵素群)の分泌促進により痰の粘度の原因となっているムコ多糖類の繊維を切断することで、痰の粘稠度を下げて痰を喀出しやすくする。
・成分に卵白由来成分が含まれているために、卵白アレルギーの症例には使用しない。
A粘膜潤滑薬 ・アンブロキソール
・ヨード塩
・アンモニウム塩
・ブロムヘキシン
など
・肺サーファクタントの産生増加などを通じて気道粘膜を潤滑にし、粘膜のクリアランスを高める薬剤。
・アンブロキソールは、ブロムヘキシンの活性代謝物である。肺表面活性物質(肺サーファクタント)の分泌促進を主な作用として持つ。

 

去痰薬 OTC医薬品例

 

 去痰薬のOTC医薬品例を次に示す。

 

写真

医薬品製造

商品名 ストナ去たんカプセル(佐藤製薬)
分類 第2類医薬品
成分 ・L-カルボシステイン 750mg
・ブロムヘキシン塩酸塩 12mg
(6カプセル中)
効能・効果 たん、たんのからむ咳