薬の剤形と各剤形の特徴

薬の剤形について


医薬品は、目的や薬効に応じて粉末、錠剤、液剤などの適切な形状に加工される。これを剤形と呼ぶ。


医薬品レポート


剤形は、有効成分の物理的・化学的安定性、患者のアドヒアランス(服用しやすさ)、体内での薬物動態(効き目や副作用の発現)を総合的に考慮して決定される。


各剤形の特徴


剤形は投与経路に基づき、主に内用剤、外用剤、注射剤の3つに大別される。各々の特徴は以下の通りである。


【@内用剤】
散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、内用液剤の6つの内用剤分類と特徴を簡潔にまとめた、分かりやすい日本語のインフォグラフィック図解。

散剤 有効成分をそのまま、あるいは賦形剤等の添加剤を混合し、粉末または微粒状に製したもの。
顆粒剤 有効成分に添加剤を加え、粒状に造粒したもの。
丸剤 有効成分に賦形剤、結合剤、崩壊剤などの添加物を加え、球状に成型したもの。
錠剤 有効成分と添加剤の混合物を圧縮成型するか、溶媒で練合・成型、もしくは型に流し込み乾燥させて一定の形状に製したもの。
素錠(裸錠)、糖衣錠、フィルムコーティング錠、カプレット、腸溶錠、貼付錠、徐放錠など多様な機能を持つ。
カプセル剤 有効成分を液状、懸濁状、のり状、粉末状または顆粒状などでカプセルに充填するか、カプセル基剤で包み込んで成型した製剤。
硬カプセル剤、軟カプセル剤に大別される。
内用液剤 内服して用いる液状の製剤。
シロップ剤、浸剤・煎剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、リモナーデ剤などが含まれる。


【A外用剤】
外用剤(飲み薬以外)の分類図。外用液剤(点眼剤等)、半固形剤(軟膏剤等)、固形剤(貼付剤・坐剤等)の3種類を具体例とともに紹介。

外用液剤 皮膚や粘膜に適用する液状の外用剤。
ローション剤、エアゾール剤、点眼剤などが該当する。
半固形剤 適度な流動性と展延性を有し、皮膚や粘膜に塗布する半固形状の外用剤。
軟膏剤、眼軟膏剤、クリーム剤、パップ剤、リニメント剤などが含まれる。
固形剤 貼付剤、外用錠剤、外用散剤、坐剤が含まれる。
貼付剤は支持体に膏体を展延または封入し、皮膚に粘着させて用いる。
外用錠剤にはトローチ剤(口腔内で徐々に溶解させ口腔・咽頭に作用させる)、腟錠(腟内に適用する錠剤)、口腔内貼付剤がある。
外用散剤は皮膚や粘膜に散布して用いる。
坐剤は基剤と均等に混合し、肛門または腟に適用するよう成型された固形の外用剤。


【B注射剤】
注射剤の定義、4つの投与経路、無菌製剤の特徴、溶液や懸濁液など剤形の種類をまとめたインフォグラフィック図解。

注射剤 皮内、皮下、筋肉内、または血管内などの体内組織に直接注入する無菌製剤。
溶液、懸濁液、乳濁液のほか、用時に溶剤で溶解または懸濁して用いる固形注射剤がある。


【ポイント】

1. 剤形選択における安定性とQbD(Quality by Design)

医薬品の剤形は、単なる服用しやすさだけでなく、有効成分の物理的・化学的安定性を担保する上で極めて重要である。製造開発段階においてQbDの概念を取り入れ、リスクアセスメントに基づく製剤設計を行うことが求められる。


2. 無菌製剤(注射剤)の製造と汚染管理戦略(CCS)

注射剤は無菌性が絶対条件であり、最新のGMP要件に準拠した高度な製造管理が必要である。施設設計から環境モニタリング、作業員の更衣手順に至るまで、包括的な汚染管理戦略(CCS: Contamination Control Strategy)の構築と継続的な改善が不可欠である。


【用語解説】

剤形 有効成分の安定性や薬効の発現、服用しやすさなどを考慮し、医薬品を粉末、錠剤、液剤などに加工した形状のこと。
賦形剤(ふけいざい) 有効成分の量が少ない場合に、取り扱いやすい大きさや質量にする目的で添加される物質。
乳糖やデンプンなどが代表的である。
無菌製剤 注射剤や点眼剤など、微生物や微粒子が混入していないことが絶対的に要求され、厳格な無菌条件下で製造される製剤。