胃腸薬とは!?

胃腸薬とは!?

 

 胃腸薬いちょうやくとは、胃および腸の疾患の治療や、症状の緩和に用いられる医薬品の総称である。

 

 

医薬品製造

 

 複合胃腸薬は、食べ過ぎや消化不良の時は「食後の服用」により、消化薬や健胃薬が働き、また空腹時の胃の痛みや胸やけの時は「空腹時や食間」の服用により、胃を保護する成分が働く。

 

胃痛とは!?

 

 一般的にみぞおちの辺りに痛みが現れることを「胃痛」と表現する。

 

 胃酸の過剰な分泌や細菌などによって胃の粘膜が傷つけられてしまう場合や、胃の機能が低下して不調が起きる場合など、胃痛にも様々な原因がある。

 

 

医薬品製造

 

 胃痛の主な原因は、食生活やストレス、ピロリ菌である。

 

 

 <食生活>

 

 暴飲暴食をしたり、脂っこい食べ物など消化しづらいものを大量に摂取したりすることで、胃酸の分泌が高まり、胃の粘膜を傷つけるため胃痛が発生する。

 

 そのほか、唐辛子のような刺激の強い香辛料やアルコールなども同様に注意が必要である。

 

 

 

 <ストレス>

 

 ストレスを受けることは自律神経の乱れにつながる。

 

 自律神経は胃や十二指腸の働きをコントロールする役割を持つため、自律神経が乱れることで胃酸が過剰分泌されてしまうことがある。

 

 その結果、胃酸が粘膜を傷つけ、痛みを引き起こす。

 

 

 

 <ピロリ菌>

 

 ヘリコバクター・ピロリ菌とよばれる細菌に感染すると、胃の粘膜を覆っている粘液の中にピロリ菌が住みこみ、粘膜を傷つけ胃痛を起こす。

 

 本来胃の中は強い酸性のため細菌は生息できないが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生して胃液中の尿素からアンモニアをつくりだし、自分の周囲をアルカリ性に変化させて生育する。

 

 ピロリ菌が胃の粘膜を傷つけるメカニズムはいくつかの説があるが、ひとつはピロリ菌がつくりだす様々な分解酵素が原因といわれている。

 

 

胃腸薬の種類

 

 一般的に胃薬は、「胃酸中和・抑制薬」と「胃酸分泌促進薬」と「複合胃腸薬」の3つに大別される。

 

 胃酸中和・抑制薬と胃酸分泌促進薬は、全く逆の働きをする。

 

【胃酸中和・抑制薬 3つの種類】

薬の種類 成分の種類 効果・副作用
@制酸薬 ・炭酸水素ナトリウム
・酸化マグネシウム
・乾燥水酸化アルミニウムゲル
・合成ヒドロタルサイト
・炭酸カルシウム
など
・出過ぎた胃酸を中和することによって胃粘膜への刺激を抑える。
・制酸成分のほとんどは、アルカリ性の化合物であり、酸-アルカリの中和反応を利用している。
・マグネシウムやアルミニウムなどが含まれているものは、抗生剤の吸収を低下させることがあるため飲み合わせに注意が必要である。
AH2ブロッカー ・シメチジン
・塩酸ラニチジン
・ファモチジン
・塩酸ロキサチジン、アセタート
・ニザチジン
など
・胃酸が過剰に分泌されないように働く。
・H2ブロッカーはヒスタミンH2受容体拮抗剤といって、酸分泌抑制作用つまり胃酸の出過ぎを抑えるという、優れた薬理作用がある。
・15歳未満の小児、80歳以上の高齢者は服用できない。
B鎮痛鎮痙薬ちんつうちんけいやく ・ロートエキス
・塩酸ジサイクロミン
・臭化メチルアトロピン
・臭化水素酸スコポラミン
・臭化ブチルスコポラミン
・塩酸ピレンゼピン
・ヨウ化イソプロパミド
など
・胃痛・腹痛や胃けいれんを抑える。胃酸も抑える。
・胃液の分泌は副交感神経系からの刺激によって高い度合いまで進むことから、副交感神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えること(抗コリン作用)によって過剰な胃液を分泌を抑える。

 

【胃酸分泌促進薬 2つの種類】

薬の種類 成分の種類 効果・副作用
@健胃薬 <含有生薬>
・オウバク
・オウレン
・センブリ
・ゲンチアナ
・リュウタン
・ケイヒ
・サンショウ
など
・弱った胃の働きを活発にして胃酸の分泌を促す。
・味覚神経や嗅覚神経を刺激して反射的に消化管の運動を高め、唾液や胃液の分泌を促すことにより、弱った胃の働きを高める。
A消化酵素薬 ・ジアスターゼ
・ニューラーゼ
・リパーゼ
・セルラーゼ
・タカヂアスターゼ
など
・消化酵素を胃の中に投入し、胃を休ませる。
・炭水化物、タンパク質、脂質などを分解する各種酵素を含み、食物の消化を助ける。
・消化酵素は、分解できる食物の種類が限られているので、実際は、複数の消化酵素を組み合わせ配合されたものが多い。

 

【複合胃腸薬】

薬の種類 効果・副作用
複合胃腸薬 制酸薬、健胃薬、消化薬などの複数の成分を同時に配合した胃腸薬である。

 

胃腸薬 OTC医薬品例

 

 胃腸薬のOTC医薬品例を次に示す。

 

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医薬品製造

商品名 キャベジンコーワα(興和新薬)
分類 第2類医薬品
成分 ・メチルメチオニンスルホニウムクロリド 150mg
・炭酸水素ナトリウム700mg
・炭酸マグネシウム 250mg
・沈降炭酸カルシウム 1200mg
・ロートエキス3倍散90mg(ロートエキスとして30mg)
・ソヨウ乾燥エキス 30mg(ソヨウとして270.0mg)
・センブリ末 30mg
・ビオヂアスターゼ2000 24.0mg
・リパーゼAP12 15mg
(6錠中)
効能・効果 ○胃部不快感、胃弱、もたれ、胃痛、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、食欲不振、消化不良、胃酸過多、げっぷ、胸つかえ、消化促進、胃部・腹部膨満感、胃重

 

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医薬品製造

商品名 太田胃散(太田胃散)
分類 第2類医薬品
成分 ・ケイヒ92mg
・ウイキョウ 24mg
・ニクズク 20mg
・チョウジ 12mg
・チンピ 22mg
・ゲンチアナ 15mg
・ニガキ末15mg
・炭酸水素ナトリウム625mg
・沈降炭酸カルシウム 133mg
・炭酸マグネシウム 26mg
・合成ケイ酸アルミニウム 273.4mg
・ビオヂアスターゼ 40mg
(1包中)
効能・効果 ○飲みすぎ、胸やけ、胃部不快感、胃弱、胃もたれ、食べすぎ、胃痛、消化不良、消化促進、食欲不振、胃酸過多、胃部・腹部膨満感、はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐、胸つかえ、げっぷ、胃重