かぜ薬(総合感冒薬)とは!?
かぜ薬(総合感冒薬)とは!?
かぜ薬(総合感冒薬)とは、頭痛、発熱、のどや筋肉の痛み、咳、くしゃみ、鼻水・鼻づまりといった、かぜ症候群の諸症状に対する合剤の医薬品である。
かぜ症候群とは!?
「かぜ」は単一の疾患ではなく、医学的には「かぜ症候群」という。
症候・症状の集まり(症候群) |
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くしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)、咽頭痛(のどの痛み)、咳、痰などの呼吸器症状、悪寒、発熱、頭痛、関節痛(ふしぶしの痛み)、筋肉の痛み、全身倦怠感など |
かぜ薬(総合感冒薬)は、これらの症状を抑える薬であって、原因菌・原因ウイルスの増殖を抑えるなど病気を根本的に治療するものではない。
かぜによく似た症状が現れる疾患として、アレルギー性鼻炎、インフルエンザ(流行性感冒)などがある。
急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くとき、または悪化するようなときは、かぜではない可能性が高い。
かぜ薬(総合感冒薬)の成分
かぜ薬(総合感冒薬)には、主に解熱鎮痛成分や抗ヒスタミン成分、抗コリン成分などが含まれる。
【かぜ薬(総合感冒薬)の成分】
成分 | 種類 | 効果・副作用 |
---|---|---|
@解熱鎮痛成分 | <非ピリン系> ・アスピリン ・イブプロフェン ・アセトアミノフェン ・エテンザミド ・サザピリン ・サリチルアミドなど
<ピリン系> |
・発熱を鎮め、痛みを和らげる。 ・非ピリン系というのは、ピリン系以外の化合物のこと。 ・アスピリンに代表される非ピリン系解熱鎮痛薬はヤナギから抽出されたサリチル酸が有効成分。 ・ピリン系は、「ピラロゾン」という化学構造骨格を持った化合物のこと。 ・ピリン系(ピラゾロン系)解熱鎮痛薬は、キナの皮から抽出されたキニーネの誘導体が有効成分で、アレルギーの副作用が多く見られ、ピリン疹ともいわれる発疹を生じる。 |
A抗ヒスタミン成分 | ・クロルフェニラミンマレイン酸塩 ・ジフェンヒドラミン ・マレイン酸カルビノキサミン ・フマル酸クレマスチン ・アリメマジン ・メキタジン ・ジフェニルピラリン |
・ヒスタミンは、体内のアレルギーを引き起こす神経伝達物質のひとつで、H1受容体(ヒスタミンH1受容体)へ作用することでアレルギーの諸症状を引き起こす。 ・抗ヒスタミン成分は、H1受容体への阻害(拮抗)作用によりヒスタミンの働きを抑え(抗ヒスタミン作用をあらわし)、蕁麻疹、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息などの症状を改善する。 ・副作用により、注意力の低下や眠気を催すので、服用後は乗り物の運転や機械の操作は避ける必要がある。 |
B抗コリン成分 | ・ベラドンナ総アルカロイド ・ヨウ化イソプロパミド |
・鼻水は副交感神経から放出されるアセチルコリンの刺激により、鼻腺から分泌される。抗コリン成分は、このアセチルコリンが鼻腺の細胞壁に取り付くことをブロックして、鼻水の分泌を抑えるようにはたらく。この作用を「抗コリン作用」と呼ぶ。 ・べラドンナ総アルカロイドは、副交感神経の働きを抑える作用をもつ。鼻汁分泌やくしゃみを抑え、かぜ薬や鼻炎用内服薬に配合される。ナス科のセイヨウハシリドコロという植物の根茎や根にふくまれる生薬成分である。 |
C咳止め成分(中枢抑制作用) | <麻薬性> ・コデイン ・ジヒドロコデイン など
<非麻薬性> |
・麻薬性は、依存性がある。長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがある。 ・非麻薬性は、依存性がない。 ・コデインは咳中枢を抑制する。強い鎮咳、鎮静作用があり、軽度の呼吸抑制作用もある。 ・ジヒドロコデインは、咳中枢の抑制作用がコデインの2倍強い薬。また、胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがある。 |
D咳止め成分(気管支拡張成分) | <交感神経興奮作用(アドレナリン作動)> ・塩酸メチルエフェドリン ・メチルエフェドリンサッカリン塩 ・塩酸メトキシフェナミン ・塩酸トリメトキノール など
<気管支平滑筋の弛緩作用(キサンチン誘導体)> |
・塩酸メチルエフェドリンなどのアドレナリン作動成分は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして結果的に咳や喘息の症状を鎮める。 ・テオフィリン、アミノフィリンなどのキサンチン誘導体は、自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させ、気管支を拡張させる。これらの成分は、服用により母乳に移行し、乳児に神経過敏症状をもたらす可能性がある。 |
E去痰成分 | <分泌促進作用> ・グアヤコールスルホン酸カリウム ・クレゾールスルホン酸カリウム ・グアイフェネシン ・塩酸ブロムヘキシン など
<粘度低下作用> |
・痰の切れをよくする去痰成分は、気道粘膜からの分泌を促進する作用を示すもの(分泌促進作用)と、痰の中の粘性タンパク質に作用してその粘度を減少させるもの(粘度低下作用)の2つに大別される。 |
F抗炎症成分 | ・塩化リゾチーム ・グリチルリチン酸ニカリウム ・トラネキサム酸 ・酵素 など |
・塩化リゾチームは、ショック(アナフィラキシー)や皮膚粘膜眼症候群、中毒性皮膚壊死症のような重篤な副作用を生じることがある。また、卵(鶏卵)アレルギーの人は使用を避ける。 ・グリチルリチン酸二カリウムは、すぐれた消炎作用があり、のどのはれや痛みを鎮める目的でかぜ薬や口腔内殺菌トローチなどに使用される。 |
Gビタミン成分 | ・ビタミンB1(チアミン) ・ビタミンB2(リボフラビン) ・ビタミンC(アスコルビン酸) ・ビタミンP(ヘスピリジン) ・アミノエチルスルホン酸(タウリン) など |
・かぜの症状によって消耗する栄養素を補給する目的で、かぜ薬にビタミン成分やビタミン様物質などが配合されている。 ・ビタミンP(ヘスペリジン)は、ポリフェノールの一種で、陳皮(みかんの皮)の主成分である。抗アレルギー作用、血流改善効果、毛細血管の強化、血中コレステロール値の改善効果などが報告されている。 |
Hその他 | <鎮静成分> ・ブロムワレリル尿素(ブロモバレリル尿素) ・アリルイソプロピルアセチル尿素 など
<胃酸を中和する成分(制酸成分)>
<カフェイン類> |
・ブロムワレリル尿素(ブロモバレリル尿素)、アリルイソプロピルアセチル尿素は、服用により注意力の低下や眠気を催す。服用後は乗物の運転や機械の操作は避ける必要がある。また、依存性がある。 ・制酸成分は、胃腸障害を低減させることを目的として配合される。 ・カフェイン類は、他成分(抗ヒスタミン成分や鎮静成分など)による眠気を防止するが、頭痛を鎮める作用も併せ持つ。しかし、カフェイン類が配合されているからといって、眠気が完全に解消されるわけではない。 |
かぜ薬(総合感冒薬) OTC医薬品例
かぜ薬(総合感冒薬)のOTC医薬品例を次に示す。
写真 | |
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商品名 | パブロンゴールドA(大正製薬) |
分類 | 第2類医薬品 |
成分 | ・グアイフェネシン 60mg ・ジヒドロコデインリン酸塩 8mg ・dl-メチルエフェドリン塩酸塩 20mg ・アセトアミノフェン 300mg ・クロルフェニラミンマレイン酸塩 2.5mg ・無水カフェイン 25mg ・リボフラビン(ビタミンB2) 4mg (1包(0.96g)中) |
効能・効果 | かぜの諸症状(せき、たん、のどの痛み、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 |
写真 | |
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商品名 | 新ルルA錠s(第一三共ヘルスケア) |
分類 | 第2類医薬品 |
成分 | ・アセトアミノフェン 900mg ・クレマスチンフマル酸塩 1.34mg ・ジヒドロコデインリン酸塩 24mg ・ノスカピン 48mg ・dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60mg ・グアヤコールスルホン酸カリウム 240mg ・無水カフェイン 75mg ・ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体) 24mg (9錠中) |
効能・効果 | かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 |
写真 | |
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商品名 | 小児用ジキニンシロップ(全薬工業) |
分類 | 第2類医薬品 |
成分 | ・dl-メチルエフェドリン塩酸塩 20mg ・アセトアミノフェン 300mg ・クロルフェニラミンマレイン酸塩 2.5mg ・無水カフェイン 25mg ・カンゾウ(甘草)エキス 332mg(原生薬換算量1,660mg) (30mL中) |
効能・効果 | かぜの諸症状(せき、発熱、頭痛、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、たん、悪寒(発熱によるさむけ)、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和 |
製造の知識 | GMPの知識 |
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GMPとは!?等 |
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