医薬品製造の基礎知識

クリーンルームとは!?

 製造環境は、医薬・医療品の品質を作りこむうえで重要な項目であり、その中でも目に見えない空気を扱っていることもあり空調設備はわかりにくいとされている。

 

 空調設備は、医薬品の品質を保持し、安定供給を担保し、かつ製造環境の塵埃、微生物をいかに効率よく排除する役割を持つ。

 

クリーンルームとは

 

 クリーンルームとは、JIS Z 8122によると「コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、またその空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間」と記載されている。

 

 ではなぜ、医薬・医療品工場に「クリーンルーム」が必要になってくるのでしょうか。電子デバイス関連の製造工場の場合、ゴミは製品の歩留まりに大きく影響するので嫌がられてる。

 

 医薬・医療品工場の場合、同様にゴミの存在は、医薬品の品質に大きく関わってくるので嫌がられているが、もう1つ嫌がられているのが「菌」の存在である。

 

 「菌」はそれ自体が病原性を持っている可能性もあるし、薬を必要とする人は大抵の場合、病気などを発症しており、免疫力が低下している場合が多く、ちょっとした「菌」の存在が重篤な結果を招く恐れがある。

 

 特に無菌製剤工場の場合においては、どのような状況下においても「菌」が工場内に入らないことが要求されているし、製剤と直接接することのある空気によって、一時たりとも「菌」のラインへの流入をさせてはならない。

 

 なぜなら、ゴミは一度工場内及び製造ラインに入ってもそれ以上増えることはないが、「菌」は一度侵入するとさまざまなものを栄養源にして一気に増殖する危険性が高いからである。さらに、製剤工場内においては「菌」を食料にするような天敵もいないため、増え続けるケースが多くみられる。

 

クリーンルームの規格

 

 クリーンルームに関する主な規格について、各国およびさまざまな組織がガイダンスおよびガイドラインを発出している。下記に主な規格を示す。

 

@厚生労働省医薬品食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡:無菌製造法による無菌医薬品の製造に関する指針
日本薬局方 無菌医薬品製造区域の環境モニタリング

 

A米国USP1116:無菌操作法で製造される無菌医薬品のcGMP
FDA無菌製剤ガイダンス:IEST-PR-CC002.2

 

B英国BS5295 追補 PD6609

 

CEU:EU-GMP Annex-1

 

DPIC/S:PIC/S GMP

 

EWHO:WHO-GMP(TRS 961,Annex6)

 

FISO:13408-1 ISO14644-1

 

【清浄度の国内/海外規格例】

 

医薬品製造

 

【各業界での清浄度例】

 

医薬品製造

 

 また、GMPにおける清浄度のエリア分類は次のように分けられる。

 

【GMPにおける清浄度のエリア分類】

 

医薬品製造

 

グレード A:高リスクの作業を行う区域、即ち充てん区域、ゴム栓ホッパー、開口 アンプル・バイアルを扱う部分、無菌接続を行う部分等である。

 

グレード B:無菌の調製や充てんの工程に関して、この区域はグレードA区域のバックグラウンドの環境である。

 

グレード C及びD:無菌製品の製造において、より重要度の低い工程を行う清浄区域である。

 

クリーンルームの4原則

 

クリーンルームには次の4原則が存在します。

 

医薬品製造

 

【1.持ち込まない】

 

@室内を陽圧に保持し、空気中に含有される外部からの塵埃・菌の侵入を防止する。

 

A作業者は、更衣基準に基づいた更衣を行い、エアシャワーなどを通った後で、クリーンルームへの入室を行う。

 

医薬品製造

 

Bクリーンルームに不要なものを持ち込まない。

 

Cクリーンルーム内に必要な材料、機器、備品は、清掃したのちに持ち込む。

 

【2.発生させない】

 

@無駄のない最小限の人の動きになるような動線計画を行う。

 

A発塵の少ないクリーンスーツを着用する。

 

B作業者からの発塵・菌の落下などが最小限となるように、化粧の制限および手洗い・洗顔を遂行する。

 

C発塵のない(少ない)内装材・生産機器の使用、および薬剤の使用および室内除染などによる腐食などによる腐食などの変化を生じない材質を使用する。

 

【3.堆積させない】

 

@クリーンルーム専用の掃除機などを使用した清掃を行う

 

※本体空気排出口にHEPAフィルターやULPAフィルター付きで塵埃をまき散らさない掃除機

 

医薬品製造

 

A室内に侵入してきた塵埃・菌を十分な換気回数により、室内から排除する。

 

B空調機を使用して、フィルトレーションした清浄な空気を室内に送風して、室内に堆積した塵埃などを排除する。

 

C発塵のある装置については、室内にその発塵が拡散しないうちに集塵し排気を行う。ただし、室内を陽圧に保持するためにその排気風量に見合う分だけフィルターにて清浄処理された外気を室内に導入する。

 

【4.排除する】

 

@床と壁、天井と壁のコーナーにはR幅木を設け、塵埃・菌などが堆積しにくい構造とする。

 

医薬品製造

 

Aクリーンルーム内には、露出配管(特に横引き配管)などを極力少なくする。

 

B清掃しやすい・堆積の少ない建築設備、生産機器の構造とする。

 

C周囲構成部材は帯電しにくい部材を使用し、製品品質に悪影響を及ぼさないものを採用する。

 

D適切な湿度管理を行い静電気が発生しないような環境を構築する。

 

 

 

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