品質に関するガイドライン「ICH Q1〜Q14」とは!?
ICHでは、ISOの考え方をベースに医薬品業界の要素を取り入れた品質システムのガイドラインを作成し、公表している。
品質に関するガイドラインは、2020年時点でICH Q1〜Q14まで存在している。
厚生労働省から通知される(ステップ5)まで達しているのは、2020年時点でICH Q1〜Q11である。
次に、主な内容を示す。
ガイドライン | ガイドラインの主な内容 | 通知日・ 原文リンク |
---|---|---|
Q1 |
【安定性】
<Q1A(R2)「安定性試験ガイドライン」>
・ICH安定性ガイドラインの改定版であり、EC、日本及び米国3極内において新有効成分含有医薬品の原薬及び製剤の承認申請を行うときに必要な安定性試験成績を示したもの
<Q1B「新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン」>
・新原薬及び新製剤を承認申請する際に必要とされる光安定性に関する情報を得ることを目的としている
<Q1C「新投与経路医薬品等の安定性試験成績の取扱いに関するガイドライン」>
・新投与医薬品等について承認申請する際の安定性試験成績の取扱いを示すもの
<Q1D「原薬及び製剤の安定性試験へのブラケッティング法及びマトリキシング法の適用」>
・「マトリキシング法及びブラケティング法」に関する指針を示すもの
<Q1E「安定性データの評価に関するガイドライン」>
・安定性データを承認申請においてどのように利用してリテスト期間又は有効期間を提示したらよいかを示したもの
<Q1F「気候区域III及びIVにおける承認申請のための安定性試験成績に関するガイドライン」の廃止>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の合意に基づき、ICHQ1Fガイドラインを廃止する
|
2003.6.3
1997.5.28
1997.5.28
2002.7.31
2003.6.3
2006.7.3 |
Q2 |
【分析法バリデーション】
<Q2(R1)「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)」>
・日本,アメリカ合衆国及びヨーロッパ連合の三極内における医薬品の承認申請に含まれる分析法について,バリデーションを行う際に検討が必要な分析能パラメータについて記載したもの
<Q2(R1)「分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)」>
・「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)」を補完するもの
・個々の分析法に関連する様々な分析能パラメータを検討する方法について、その指針を示す
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1995.7.20
1997.10.28 |
Q3 |
【不純物】
@<Q3A(R2)「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン」>
・新有効成分含有医薬品のうち、化学的合成法で製造される原薬中の不純物の量及びその安全性の確認に関する承認申請に際しての指針を示している
A<Q3A(R2)「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインの一部改定」>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)における合意に基づき、新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインを一部改定
B<Q3B(R2)「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン」>
・新有効成分含有医薬品のうち、化学的合成法により製造される原薬を用いて製造される製剤中の不純物の量及びその安全性の確認に関する承認申請に際しての指針を示している
C<Q3B(R2)「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改定」>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)における合意に基づき、新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインを一部改定
D<Q3C(R3)「医薬品の残留溶媒ガイドライン」>
・医薬品の製造の際には,低毒性の溶媒を使用するように勧告するとともに,いくつかの残留溶媒について毒性学的に許容し得る限度値を示している
E<Q3C(R3)「医薬品の残留溶媒ガイドライン N−メチルピロリドン(N-Methylpyrrolidone)のPDE値について/テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)のPDE値について」>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において、permissible daily exposure(PDE値)について合意されたことから、「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」の一部を改める
F<Q3C(R3)「医薬品残留溶媒の限度値について」>
・医薬品残留溶媒の限度値について、最新の科学的知見等に基づき検討の余地がある場合の検討の手順を示す
G<Q3C(R5)「医薬品の残留溶媒ガイドライン」の改正>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において、クメンのPermitted Daily Exposure (PDE値)について合意されたことから、「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」の一部を改める
H<Q3C(R6)「医薬品の残留溶媒ガイドライン」の改正>
・日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)において、トリエチルアミン及びメチルイソブチルケトンの Permitted Daily Exposure (PDE 値) について合意されたことから、「医薬品の残留溶媒ガイドライ ンについて」の一部を改める
I<Q3D「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」>
・ICH Q9に記載されているリスクマネジメントの原則を用いて製剤中の元素不純物を評価し、管理するプロセスを示すもの
|
2002.12.16
2006.12.4
2003.6.24
2006.7.3
1998.3.30
2002.12.25
2002.12.3
2011.2.21
2018.7.19
2015.9.30 |
Q4 |
【薬局方】
<ICH Q4B ガイドライン(薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告)>
・Q4B 専門家作業部会(EWG)による薬局方テキストの評価及び勧告のプロセスを示し、ICH 地域における薬局方テキストの相互利用を促進するためのもの
<Annex 1:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(強熱残分試験法)>
・強熱残分試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 2:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(注射剤の採取容量試験法)>
・注射剤の採取容量試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 3:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(注射剤の不溶性微粒子試験法)>
・注射剤の不溶性微粒子試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 4:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(微生物限度試験法及び非無菌医薬品の微生物学的品質特性)>
・非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 5:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(崩壊試験法)>
・崩壊試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 7(R2):ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(溶出試験法)>
・溶出試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 8:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(無菌試験法)>
・無菌試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 9:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(錠剤の摩損度試験法)>
・錠剤の摩損度試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 10:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法)>
・SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 11:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(キャピラリー電気泳動法)>
・キャピラリー電気泳動法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 12:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(粒度測定法(ふるい分け法))>
・粒度測定法(ふるい分け法)について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex 13:ICH Q4B ガイドラインに基づく事項別付属文書(かさ密度及びタップ密度測定法)>
・かさ密度及びタップ密度測定法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex14:ガイドラインに基づく事項別付属文書(エンドトキシン試験法)>
・エンドトキシン試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
<Annex6: ICHQ4Bガイドラインに基づく事項別付属文書(製剤均一性試験法)について>
・製剤均一性試験法について Q4B 専門家作業部会で評価された結果を示したもの
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2009.5.26
2009.5.26
2010.2.8
2010.2.8
2010.9.17
2010.9.17
2011.7.26
2010.9.17
2011.1.27
2011.1.27
2011.1.27
2011.1.27
2012.11.8
2013.3.21
2014.4.17 |
Q5 |
【生物薬品の品質】
<ICH Q5A(R1)「ヒト又は動物細胞株を用いて製造されるバイオテクノロジー応用医薬品のウイルス安全性評価」>
・ウイルス汚染の危険性を評価し、製品からウイルスを排除し、も ってヒト又は動物細胞由来の安全なバイオテクノロジー応用医薬品を製造するためにどのようなアプローチをすればよいかを示唆している
<ICH Q5B「組換えDNA技術を応用したタンパク質生産に用いる細胞中の遺伝子発現構成体の分析」>
・真核細胞及び原核細胞で組換え DNA 技術を応用してタンパク質を生産する際の遺伝子発現構成 体の解析に関する指針を示したもの
<ICH Q5C「生物薬品(バイオテクノロジー応用製品/生物起源由来製品)の安定性試験」>
・生物薬品(バイオテクノロジー応用製品/生物起源由来製品)の安定性試験について,ICH における三極の合意事項に基づき,その標準的と思われる方法を示したもの
<ICH Q5D「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)製造用細胞基剤の由来、調製及び特性解析」>
・生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)製造用細胞基剤の由来、調製及び特性解析について、ICHにおける三極の合意事項に基づき、その標準的と思われる方法を示したもの
<ICH Q5E「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の製造工程の変更にともなう同等性/同質性評価」>
・生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物 起源由来医薬品)の製造工程の変更にともなう同等性/同質性評価について、ICH における三極の合意事項に基づき、その標準的評価方法を示したもの
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2000.2.22
1998.1.6
1998.1.6
2000.7.14
2005.4.26 |
Q6 |
【規格および試験方法】
<ICH Q6A「新医薬品の規格及び試験方法の設定」>
・新原薬と新製剤について、世界規模での単一の規格及び試験方法の設定を促進することを目的としている
<ICH Q6B「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の規格及び試験方法の設定」>
・生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品) を新たに承認申請し、上市を目指すに当たって、規格及び試験方法の設定並びにその根拠を可能な限り国際的に整合性のあるものとするための一般的な原則について、明らかにしたものである
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2001.5.1
2001.5.1 |
Q7 |
【原薬GMPのガイドライン】
・ICH Q7(合意当時はQ7A)での合意に基づき、原薬(医薬品の有効成分)に関する製造管理及び品質管理(GMP規則)の実施について、その標準的なあり方を示したもの
・ICH Q7の解釈により生じる不確かさを明確化した、Q&A集が、2016年に通知された
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2001.11.2
2016.3.8 |
Q8 (R2) |
【製剤開発(改定)】
・製品および製造工程の開発に対する、科学とリスクに基づくアプローチについて記述
・デザインスペース、規制の弾力的な取り組みという概念を導入
・Quality by Design(QbD)の概念を導入し、QbD開発アプローチとデザインスペースの例を提供
・クオリティ・バイ・デザイン(QbD) は、事前の目標設定に始まり、製品及び工程の理解並びに工程管理に重点をおいた、立証された科学及び品質リスクマネジメントに基づく体系的な開発手法
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2010.6.28 |
Q9 |
【品質リスクマネジメント】
・品質に対するリスクのアセスメント、コントロール、コミュニケーションおよびレビューに対する系統的なプロセスについて記述
・製品ライフサイクル(開発、製造、流通)を通じて適用される
・品質リスクマネジメントに関する原則、方法論およびツー ルの例を含む
・品質に対するリスクのアセスメントは、「科学的知識に基づいていること」、「患者の保護に結びついていること」、「製品のライフサイクル全体におよぶこと」が必要
・品質リスクマネジメントの体系的なアプローチを提供すること
|
2006.9.1 |
Q10 |
【医薬品品質システム】
・適切な品質特性を有する製品を供給するためのシステムを確立し、実施し、維持すること
・製造プロセスの能力の保証を提供すること
・継続的改善を促進すること
・PQSの要素には、「モニタリングシステム」、「是正措置及び予防措置(CAPA)システム 」、「変更マネジメントシステム 」、「製造プロセスの稼働性能及び製品品質のマネジメントレビュー」が含まれる |
2010.2.19 |
Q11 |
【原薬の開発と製造(化学物質/生物起源由来物質)】
・ICH Q8、Q9、Q10(Qトリオ)に記述されている原則と概念を、原薬の開発と製造に関連して説明を提供するもの
・原材料管理から原薬、製剤に至るまでの一貫した管理戦略構築のさらなる促進
・出発物質及び生物起源原材料選定に係る共通理解の促進
|
2014.7.10 |
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