厚生労働省は、5〜11歳を接種対象にした米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを1月21日に特例承認した。
大人の3分の1の量を、3週間の間隔で2回接種するということで、政府は早ければ3月以降の接種開始を想定している。
日本小児科学会などの声明によると、5歳から11歳の子どもがワクチンを接種した場合、新型コロナの発症を防ぐ効果があるほか、特に基礎疾患のある子については重症化を防ぐことが期待される。
一方で、接種によって想定されるリスクについては、発熱や頭痛、倦怠感、まれに起こるものとして心筋炎や心膜炎が挙げられる。
アメリカの臨床試験では、5歳〜11歳の子どもは16歳〜25歳までの人と比べて接種後に副反応が出る頻度が低かったとの報告ある。
厚生労働省は、新型コロナウイルスの飲み薬を特例承認したと発表した。
コロナ向けに開発された飲み薬が承認されるのは国内初となる。
承認されたのはアメリカの製薬大手「メルク」が開発したコロナの軽症や中等症向けの飲み薬「モルヌピラビル」で、臨床試験では入院や死亡のリスクが3割減ったという。
18歳以上が対象で、4錠ずつを一日に2回、5日間服用する。
新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」について厚生労働省は、観察研究のための提供を終了した。
飲み薬「モルヌピラビル」(商品名・ラゲブリオ)が実用化されるなど新型コロナ診療を巡る状況の変化を踏まえた判断だという。
観察研究は、国が薬剤を提供する形で行われ、今年7月1日までに約1万5000人に投与された。
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」。
南アフリカからWHO(世界保健機関)に初めて報告されたのが2021年11月24日。
その2日後にはWHOがVOC(懸念すべき変異株)に指定し、世界各国で急速に警戒が高まった。
オミクロン株の感染が確認・報道されたのは、2021年12月4日時点で世界40以上の国・地域に広がった。
製薬大手ファイザーは、新型コロナウイルス感染症治療薬として開発中の飲み薬について、重症化の恐れがある成人の入院または死亡のリスクが89%低下したとする臨床試験結果を公表した。
新型ウイルス経口治療薬「パクスロビド」は、重症化リスクが高い人に対し、発症からすぐに使用するというもの。3錠を1日2回、5日間服用する。
ファイザーは、初期の試験結果が非常に良好だったことから、臨床試験を早期に打ち切ったという。
同社はパクスロビドの臨床試験の中間結果を米食品医薬品局(FDA)に提出する予定だとしている。
アストラゼネカ製のワクチンは、まれに血栓が生じるリスクがあることが分かり、これまで日本政府は公的予防接種には使用してこなかった。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大が続いており、1日の感染者数「過去最高」を更新し続けている。アストラゼネカ製のワクチン使用許可には、ワクチン不足の背景がみえる。
緊急事態宣言が出されている東京都などに重点的に配送し、原則として40歳以上の人が対象となる。
また、アレルギーのためファイザー製やモデルナ製のワクチンが打てない人も対象となる。
厚生労働省は5月21日、米バイオ企業モデルナ社製と英製薬大手アストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチンを正式に承認した。
20日に厚労省の専門部会が、緊急時などの条件の下で通常よりも手続きを簡略化できる「特例承認」による承認を了承していた。
モデルナ製は24日から東京、大阪に国が開設する大規模接種センターなどで使用を始める。
一方、アストラゼネカ製については「諸外国における高齢者以外の層への接種推奨の状況などを注視しながら、我が国における使用のあり方について引き続き検討する」としている。
アストラゼネカについては、接種後に血栓ができる例なども報告されていて、厚労省は血栓が生じた場合の治療の指針を作成するとしている。
発症予防の効果を示す有効性は、ファイザーが「94.6%」、モデルナが「94.1%」、アストラゼネカは「70.4%など」となっている。
モデルナは「メッセンジャーRNAワクチン」で、アストラゼネカは「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプ。
「ウイルスベクターワクチン」は、新型コロナウイルスの遺伝物質の一部を、チンパンジーに感染するアデノウイルスに入れて細胞まで運ぶ。そして、免疫のしくみで新型コロナを無力にする抗体を体内でつくらせるなどして、本当の感染に備える。
厚生労働省の専門部会は、関節リウマチ薬として承認されている「バリシチニブ」(商品名オルミエント)を新型コロナウイルス感染症の治療薬として使用することを了承した。
米イーライリリーが開発した「バリシチニブ」は、免疫異常による炎症を抑える薬。
新型コロナウイルスによる肺炎で、酸素吸入が必要な中等症から重症の患者を対象に、特例承認されている抗ウイルス薬「レムデシビル」と併用の投与を前提としている。
厚生労働省は2月12日、薬事・食品衛生審議会の専門部会を開き、米製薬大手ファイザーが申請した新型コロナウイルスワクチンの承認を了承した。
緊急時に審査を簡略化できる「特例承認」に基づき、国内初の新型コロナワクチンとして正式承認。
同社ワクチンは、遺伝情報を記録した「メッセンジャーRNA」の一部を人工合成して作製。
接種後、体内に新型コロナのたんぱく質が作られ、それに対する抗体ができて免疫を獲得する。
同社の臨床試験(治験)では約95%の予防効果が確認された。
接種部位の痛みなどがあり得るが、重篤な副反応はほとんどないとされ、欧米で接種が進む。
国内では、新型コロナワクチンの先行接種が2月17日に始まった。
厚生労働省の専門部会は、富士フイルムホールディングスの子会社、富士フイルム富山化学の「アビガン」について、新型コロナウイルス治療薬として承認するかどうか判断を見送った。
医薬品審査管理課は「あくまで審議の途中であり、有効性が否定されたものではない」としている。会社側による治験が、どの患者にアビガンを投与したかを医師が把握して行われる「単盲検試験」だったことの影響などを議論した。
現在実施中の臨床試験など企業から追加のデータの提出を待ってから再度審議するとしている。
「現時点で得られたデータからは有効性を明確に判断することは困難」とした。
新型コロナウイルス感染症の治療薬として、ステロイド系抗炎症薬「デキサメタゾン」が厚生労働省の診療の手引きに2020年7月21日に追加掲載された。
効果が検証され国内で使用が認められた治療薬は、5月に特例承認された「レムデシビル」に続いて2例目。
6月に英国で新型コロナに感染した重症患者の死亡率を下げるとの研究結果が報告され、国際的に注目されていた。
既に承認、保険適用されていて、肺の疾患や重症の感染症も投与の対象となっている。
低価格で手に入りやすいのが利点とされている。
レムデシビルは、米食品医薬品局(FDA)が2020年5月1日に重症患者に緊急使用を許可した。
また、「レムデシビル」を開発した米ギリアド・サイエンシズが、厚生労働省に薬事承認に向けた申請を行ったことが5月4日わかった。
厚生労働省は審査までの手続きを簡略化する制度「特例承認」を適用。新型コロナウイルス感染症の治療薬として、抗ウイルス薬「レムデシビル」が2020年5月7日、承認された。
今回は医薬品医療機器法の「特例承認」と呼ばれる制度を使って、申請からわずか3日というスピード承認となった。
特例承認が認められるには次の2つの条件を満たす必要がある。
@国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病が広がるのを防ぐために緊急に使用されることが必要な医薬品で、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。
Aその用途に関し、日本と同等の水準の承認制度を持つ外国で販売などが認められた医薬品であること。
これまでに新型インフルエンザのワクチン2品目に適用された実績があり、今回は3例目となる。
レムデシビル | エボラ出血熱の治療薬。未承認。米国で新型コロナでの使用歴あり。投与を受けた患者53人で68%が臨床的改善を示す。 |
---|---|
ファビピラビル (アビガン) |
インフルエンザの治療薬。富士フィルム富山化学が開発。増産に着手している。新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果の可能性が期待される。胎児に奇形をもたらす恐れがあり、妊婦らには使えない。 |
ロピナビル・リトナビル (カトレラ) |
エイズウイルス感染症の治療薬。中東呼吸器症候群(MERS)での使用歴あり。新型コロナで少なくとも54例使われたが、死亡した人もいる。 |
シクレソニド (オルベスコ) |
気管支ぜんそくの治療薬。国立感染症研究所の研究で効果の可能性が示された。10例程度使用。肺炎が改善した症例も報告されている。複数の医療機関が参加する共同研究を予定。 |
ナファモスタット (フサン) |
膵炎の治療薬。東京大学が治療効果の可能性を発表。 |
通常、新しい治療薬を開発し承認を得るまで、期間10年、費用1000億円かかるともいわれている。
そこで、上記候補のように今ある既存薬を転用していくのが安全で効率的である。
候補の中でも、新型コロナウイルス治療薬として有望だといわれているのは、レムデシビルとアビガンである。ただし、両方とも2020年4月時点で臨床試験が終わっていない。
臨床試験が終わり、新型コロナウイルスの治療薬として薬事承認が得られるのは、早くてレムデシビルは2020年8月(アメリカで承認)、アビガンは2020年9月といわれている。
新型コロナウイルス危機でみえてきた日本の課題が次のように2つある。
@緊急時の対応の遅さ
日本は、海外に比べ薬の承認に時間がかかるといわれている。
感染拡大初期のころ、アメリカではレムデシビルの投与が特例で許可されていたのに対し、日本ではこのような緊急時でも投与できなかった。
それは、緊急時に対応する法の整備がされていないためである。
A原料の海外依存
これまで、製薬会社ではコスト面から中国に原料調達を依存していた。
これは、政府が医療費抑制のため、年々公定価格(薬価)を下げるため、これに対応するため致し方ないことであった。
コスト面からみると、海外から原料調達する方が有利だが、今回のような世界的な緊急時には、製造ができず医療現場で必要な薬が使えなくなる恐れがある。
今後、安全保障の面で必要な薬については、内製化できるように見直す必要がある。
日本製薬団体連合会(日薬連)が2020年2月7日に「医薬品供給調整スキーム」を策定した。
具体的には、「市場シェア(数量ベース)30%以上の医薬品について、1か月以上の欠品が見込まれる事案」を供給不安に位置づけ、「供給調整チーム」を発足する。
供給調整チームは、供給不安が発生した製造販売業者の提出する同一成分薬、代替薬のリストに基づき、複数企業で結成する。
供給調整チームリーダーには、供給不安が発生した製造販売業者が就く。また、経済課にもチームへの参画を求めるとしている。
厚労省と密に連携し、代替薬の在庫や出荷調整などの対応を取ることで、安定供給を継続させる。
原薬は先発品、後発品ともに中国で製造されているケースが多く、新型コロナウイルスの蔓延が長期化することで工場の稼働などへの影響も懸念されている。
2020年3月時点で、COVID-19を対象に臨床試験が行われているのは、
・抗ウイルス薬レムデシビル(米ギリアド・サイエンシズ)
・抗HIV薬ロピナビル/リトナビル配合剤(米アッヴィの「カレトラ」)
・抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(富士フイルム富山化学の「アビガン」)
などである。
日本では、国立国際医療研究センターの研究班による観察研究として、これら3種類の薬剤の投与が行われている。
富士フイルム富山化学の「アビガン」は、2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬。
新型インフルエンザが発生した場合にしか使用できないため、市場には流通していないが、新型インフルエンザに備えて国が200万人分を備蓄している。
2020年3月時点で、新型コロナウイルスのワクチンは、世界各地で競うよう開発の動きが進んでいる。
・イスラエルの研究機関→ワクチン開発まで「あと数カ月」との見込み
イスラエルの研究機関ミガルは2月27日、鳥が感染する鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV)用に開発したワクチンの有効性が前臨床試験で証明されたとの声明を発表した。
・イギリス、中国、ドイツ、ロシア、オーストラリアの研究機関、アメリカのイノビオやモデルナなどバイオ企業や医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンなどもワクチン開発に乗り出している。
中でも米バイオテクノロジー会社モデルナの新型コロナウイルスワクチン候補を、ヒトに投与する試験が2020年3月開始される方向。各社がワクチン開発を進める中で、同社が一番乗りとみられる。
・製薬会社「アンジェス」→大阪大学、タカラバイオと共同で、新型コロナウイルスに対するDNAワクチンと治癒薬を開発することを発表
DNAワクチンは、一般的なワクチンよりも短期間で製造できるという。
現在、ワクチンを製造している段階で、今後、動物試験などを行ったあと、最短で6カ月以内に臨床試験を始めたい考え。