AI創薬とは!?
製薬業界で近年、急速に盛り上がりを見せているのがAIの活用である。
AI技術を有効活用することで、より高品質な医療の提供が可能となる。
厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」がまとめた報告書では、AIの活用が期待される分野の1つに「医薬品開発」を挙げている。
AIは、膨大なデータを収集し、蓄積し、分析することが得意で、しかもそこに偏見がないというのが強みである。
AIが行う「探索研究」とは、候補化合物(=医薬品の原料となりうる化合物)を作るための研究のことである。
「こんな形・成分であれば、よく効いて、安全で、飲みやすい薬になるのではないか」という仮説を立て、化合物のデザインをする。
そして、仮説通りの効き目があるか、安全であるかなどを実験により確かめる。
創薬時間が大幅に短縮できるのは、AIが膨大な情報や過去のデータを学習し、「よく効いて」「安全で」「その他、薬としての必要十分条件を満たす」確率の高そうなものを予測・提案してくれるからである。
大日本住友製薬と英新興企業Exscientia(エクセンティア)は2020年1月30日、AIを活用して創製した新薬候補化合物のフェーズ1試験(健康な成人を対象に安全性を確認するための試験)を日本で開始したと発表している。
これは、日本で世界初の臨床試験開始がされた成果を意味し、創薬における画期的な出来事である。
この新薬候補(コードネーム「DSP-1181」)は強迫性障害治療薬として開発しているもの。
業界平均では探索研究に4年半かかるところ、AIによって1年未満で完了したとしている。
また、さらに期間を短縮できる可能性もあるという。
人工知能を使った新薬創出はもはや「研究」段階ではなく実用段階に入っている。
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