米モルガン・スタンレーのアナリストは、世界の肥満症治療薬市場は2030年に770億ドル(約11兆円)に達すると予測している。
WHO(世界保健機関)によると、世界の成人肥満人口は6億5000万人を超え、1975年の3倍に増加している。
過体重も13億人に上るとされ、心臓病や糖尿病といった健康障害のリスクを上昇させている。
日本においては、長期で使用できる痩せる薬が存在しなかったため、非常に注目を集めている。
痩せる薬には「肥満症治療薬」と「肥満予防薬」があり、対象が肥満症と肥満で異なる。
肥満症は、肥満の状態が病気として診断された場合に使用される用語である。
肥満症は、肥満に関連する健康問題や疾患の発症リスクが高まっている場合に診断される。
肥満は、通常、体重が過剰であることを指す。
WHOの国際的な基準によると、体重と身長の関係を示すBMIが25以上が過体重、30以上が肥満である。
日本では、肥満症薬が2024年に初めて発売された。
次に、「肥満症治療薬」と「肥満予防薬」の違いを実際の医薬品を例に示す。
【「肥満症治療薬」と「肥満予防薬」の違い】
種類・製品名 | 肥満症治療薬「ウゴービ」 | 肥満予防薬「アライ」 |
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医薬品分類 | 医療用医薬品(処方薬) | 要指導医薬品(市販薬) ※薬局での対面販売 |
メーカー | ノボノルディスク(スイス) | 大正製薬(日本) |
有効成分 | セマグルチド | オルリスタット |
対象 | 肥満症 | 肥満 |
用法 | 皮下注射 | カプセル |
副作用 | 低血糖や急性すい炎など | 下痢や油漏れなど |
発売日 | 2024年2月22日 | 2024年4月8日 |
詳細 | 処方できる医療機関・医師や対象患者の要件が定められ、一定の制限はかかるが、新たな肥満症治療薬の第1弾として市場を創造していく役割を担う。 | 医療用で使用経験のない成分を直接、製品化したダイレクトOTCで、脂肪を減らす医薬品は国内初。 |
対象者 | 対象者は高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかの病気があり、肥満度を測る指標のBMIが35以上か、27以上で肥満に関する健康障害が二つ以上あるといった条件を満たす患者。週1回注射する。 | 対象者は18歳以上の健康障害がない成人で、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上。運動など生活習慣の改善に取り組んでいる場合に限る。購入前に対象となるか判断するためのチェックシートに記入し、薬剤師の確認を受ける必要がある。1日3回、1カプセルを服用する。 |
価格 | 1カ月で1人当たり最大約4万円。 | 18カプセル(6日分)で2530円、90カプセル(30日分)で8800円。 |
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一般的に、肥満症薬は適切な医師の監督の下で使用されるべきであり、健康な人々が単にダイエット目的で使用するべきではない。
これは、肥満症薬が副作用を持ち、医療監視下で適切な管理が必要だからである。
また、肥満症薬は単独での使用だけでなく、適切な食事療法や運動プログラムとの組み合わせが推奨されることもある。
ダイエット目的で肥満症薬を考えている場合は、必ず医師に相談して適切な指示を受けるようにする。
一般的に、肥満症は健康リスクを増加させ、肥満関連の疾患や合併症(糖尿病、高血圧、心血管疾患、脂質異常症、関節疾患など)のリスクを高めるため、医療費が増加する可能性がある。
肥満症薬により体重が減少し、健康状態が改善されることで、医療費の削減が期待できる。
医師や医療機関への頻繁な診療や入院、薬剤の処方などが減少することで、医療費の負担が軽減される可能性がある。
ただし、肥満症薬が医療費削減につながるかどうかは、複雑な要因によって異なる。
例えば、肥満症薬の効果や副作用、患者のアドヒアランス(服薬順守)、健康保険制度や医療費支出の構造、国や地域の健康政策などが影響を与える。
したがって、医療費削減効果を評価する際には、これらの要因を総合的に考慮する必要がある。