「不正」とは、組織および自己のため、他者を欺くことを目的とした意図的な作為または不作為である。
都合のよさそうなデータだけをとって不都合なデータを意識的に(knowingly)とらなければ都合のよい結論が導ける。これは事実の無視となり、不正の一つと言える。
「不備」とは、書類に不備な点があるなど、必ずしも意図的ではない。
意図的でなくても、多くの失敗や間違いは起こる。
GMP調査では不備を指摘し、 GMP省令に基づき科学的な観点から改善を要求している。
厳しく規定されているはずの医薬品の製造規定(GMP)でも、不正はなくならない。
悪質で、バレなければよいという風潮が抜けきらない企業がある。
医薬や医療機器の過誤や怠慢、不正は人の生命・健康に直接影響するため、日米欧三極調和して、規制や管理システムの整備が進んできた。
GMP調査では「不備」を指摘し「不正」を抑制している。
不備を放置すると不正が横行する。不正の動機と機会を与えず、正当化させないことが重要である。
製造において不具合が発生した時、適切に対処しなければ最悪の場合、次の事例のように業務停止に追い込まれることがある。
@錠剤を製造する際、原料の含有量が間違っていた
A製造者がミスを隠すため、品質部門へミスのない別ロットの試験検体を意図的に提出
B品質部門で合格し、市場をへ出荷
C製造した薬を保健所が収去検査(製造施設や店舗から採取し検査すること)
D有効成分の含有量が異なっていることが発覚
E製造ロットを自主回収
F自治体が立ち入り検査
G業務停止処分
ミスやトラブルが発生した場合、ミスを隠そうとすると、後々に重大な回収に繋がる。
1つの隠ぺいが、社会的信用の失墜、関係取引先への迷惑、会社への不審と発展し、会社経営の危機に陥る。
医薬品製造者は、不具合が発生した時、正直に素早い報告と適切な対応が求められる。