不正製造の事例(漢方製剤の製造記録偽造)

M製薬会社の漢方製剤の製造記録偽造事例とは!?

 

 M製薬会社は、生薬の輸入・販売、粉末の製造・販売を手がけるほか、健康食品の製造・販売の製造受託も展開している。

 

 2019年、国の承認内容と異なる製造方法で葛根湯エキスなど117品目の漢方製剤を製造し、製造記録を偽造するなどして、県から34日間の業務停止処分を命じられた。

 

匿名の通報で発覚

 

 県医薬安全課によると、同課宛ての匿名の通報を受け、M製薬会社工場への立入調査を実施し、製造管理の不備を発見した。

 

 その後、製造管理に関する改善と出荷済み製品の検証を行う中で、医薬品117品目で厚労省の承認内容と異なる製造があったことが判明。

 

 さらに、そのことが発覚しないよう製造に関する記録を偽造し、薬事監視員に対しても虚偽の答弁を行っていた事実を確認した。

 

130品目を自主回収等の必要な措置

 

 製造する292品目について、製造記録・試験記録等の調査を行った結果、次の3点が確認され、130品目において自主回収等の必要な措置を行った。

 

・承認書と異なる製造方法による製造を行っていた

 

・承認書と異なる製造を行った上で、不適切な記録管理を行っていた

 

・製造記録の紛失が確認された

 

不正製造の原因

 

 工場における記録管理に関する不備の発生原因は、下記の4点としている。

 

 

@管理能力を超えた製造品目数となっていたこと

 

自社で管理できる許容範囲を超えた品目数となっており、適切な管理を行えない状態だった。

 

AGMPルールの遵守より納期を優先する考えがあった

 

納期を最優先するがあまり、GMPルールから故意に逸脱し、製造工程を省略する行為が多くの品目で発生した。

 

B承認書内容についての必要な検証、手続きを怠った

 

開発段階から実生産への工業化検討が不十分、または、承認書通りの製造方法では実生産ができない歪みが生じていた。

 

C組織としてコンプライアンス意識の欠如

 

過去からの不正行為によって、役職者を含めて関係従業員の不正に対する意識が希薄化し、また、不正の常態化によってこれを隠ぺいすることに対する罪悪感も希薄となり、安易に法定書類の偽造を行った。

 

 

 同社は、医薬品製造販売業として、違反内容の改善を含め、GQP省令、その他の関係法令を遵守するよう業務改善を実施するとしている。

 

 

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