不良品をゼロにするには、不良品を「発生させない」ことと「流出させない」ことが必要である。
発生させないだけでは弱いため、発生防止と流出防止とで網を掛ける。これにより、不良品を撲滅する。
しかし、高精度な設備を導入し、自動化を徹底して、全数検査を行う…。そうした工程を1つひとつ積み上げて生産ラインを構築すれば、不良品を限りなくゼロに近づけることはできる。ただ、とんでもない費用が掛かってしまう。これでは採算が合わなくなる可能性もある。
大切な工程とそれほどではない工程を分け、大切な所を見極めて、レベルにあった保証の仕方を考える。メリハリをつけることでコストを抑えることも必要である。
医薬品製造には多くの機械が必要で、設備保全とメンテナンスの強化が必要不可欠である。
工場で使用している機械は、定期的なメンテナンスを行わなければならない。また、毎日の始業点検、月1度の定期点検で機械を最良の状態に保つ。
きちんとメンテナンスを行うことで、早い段階で不具合が察知できる。劣化しつつある部品を交換したり、故障前に買い替えたりできる。
自社メンテナンスはもちろんのこと、機械の製造メーカーによるメンテナンスも必要である。
このように体系的な管理体制によって生産設備を最良の状態に保ち、高品質な製品を生み出さなければならない。
ヒューマンエラーで起こるトラブルは、従業員の教育と管理体制の強化で防ぐことができる。
たとえば、機械・設備の正しい扱い方や注意点、医薬品製造の作業工程・手順についての教育訓練が必要である。
良い品質の製品を生産するためにはGMPに基づく製造・品質ルールを守ることが重要である。
そして管理者は、もし作業員が製造・品質ルールを守っていないことを発見したら、その場で注意を行うことが大切である。
もし注意をしなければ作業員は「製造・品質ルールなどを守らなくて良い」と考えてしまい品質意識が低下する。
品質の重要性は1回説明しただけでは理解することができない。朝礼などで継続的に説明して理解させるのはもちろん、不良が発生したりクレームなどの問題が起きたときに必ず品質の重要性を説明する。
また、分からないところがあれば、すぐに質問できる環境も整えなければならない。
実際に、上司・部下・同僚間の意思疎通が取れていないような職場で、ヒューマンエラーが続出している。より良い職場環境づくりもトラブルを減らすポイントともいえる。
顧客に不良を渡してしまうと、さまざまな多くの問題が発生する。
ホンダ創業者“本田宗一郎”は、「メーカーにとってわずかな不良率でも、買った顧客にとっては100%だ」といった言葉を残している。
99パーセントの合格と言えば優秀な合格率と思われるが、その1パーセントの不合格が製品となってお客様の手に渡った場合には、お客様に100パーセントの不合格品を渡したことになるのである。
何千分の一、何万分の一の不合格品を許さぬためには、どうしても120パーセントの良品でなければならない。