ICHでは、ISOの考え方をベースに医薬品業界特有の要素を取り入れた品質システムのガイドラインを作成し、公表している。
品質に関するガイドラインは、ICH Q1から始まり、2026年5月現在ではICH Q1〜Q14まで策定されている。
厚生労働省から通知され、国内規制として導入済み(ステップ5)となっている主なガイドライン(2026年時点)を以下に示す。
| ガイドライン | ガイドラインの主な内容 | 通知日・ 関連リンク |
|---|---|---|
Q1 |
【安定性】 <Q1A(R2)「安定性試験ガイドライン」> <Q1B「新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン」> <Q1C「新投与経路医薬品等の安定性試験成績の取扱いに関するガイドライン」> <Q1D「原薬及び製剤の安定性試験へのブラケッティング法及びマトリキシング法の適用」> <Q1E「安定性データの評価に関するガイドライン」> <Q1F「気候区域III及びIVにおける承認申請のための安定性試験成績に関するガイドライン」の廃止> |
2003.6.3 1997.5.28 1997.5.28 2002.7.31 2003.6.3 2006.7.3
Q1F廃止通知 |
Q2 |
【分析法バリデーション】 <Q2(R1)「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)」> <Q2(R1)「分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)」> |
1995.7.20 1997.10.28
実施方法原文 |
Q3 |
【不純物】 @<Q3A(R2)「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン」> B<Q3B(R2)「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン」> D<Q3C(R3〜R6)「医薬品の残留溶媒ガイドライン」及び各改正> I<Q3D「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」> |
2002.12.16 2003.6.24 1998.3.30 2015.9.30
I原文 |
Q4 |
【薬局方】 <ICH Q4B ガイドライン(薬局方テキストをICH地域において相互利用するための評価及び勧告)> <各Annex(事項別付属文書)> |
2009.5.26 2009.5.26
Annex 1原文 (※他AnnexはPMDA公式参照)
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Q5 |
【生物薬品の品質】 <ICH Q5A(R1)「ウイルス安全性評価」> <ICH Q5B「遺伝子発現構成体の分析」> <ICH Q5C「生物薬品の安定性試験」> <ICH Q5D「細胞基剤の由来、調製及び特性解析」> <ICH Q5E「製造工程の変更にともなう同等性/同質性評価」> |
2000.2.22 1998.1.6 1998.1.6 2000.7.14 2005.4.26
Q5E原文 |
Q6 |
【規格および試験方法】 <ICH Q6A「新医薬品の規格及び試験方法の設定」> <ICH Q6B「生物薬品の規格及び試験方法の設定」> |
2001.5.1 2001.5.1
Q6B原文 |
Q7 |
【原薬GMPのガイドライン】 ・原薬(医薬品の有効成分)に関する製造管理及び品質管理(GMP)の国際的な標準基準を示している。 |
2001.11.2 2016.3.8
Q&A原文 |
Q8 (R2) |
【製剤開発】 ・製品および製造工程の開発に対する、科学とリスクに基づくアプローチ(Quality by Design:QbD)を記述している。 |
2010.6.28 原文 |
Q9 |
【品質リスクマネジメント】 ・製品ライフサイクル全体を通じた、品質に対するリスクのアセスメント、コントロール、コミュニケーション、およびレビューの系統的プロセスを記述している。
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2006.9.1 原文 |
Q10 |
【医薬品品質システム(PQS)】 ・適切な品質特性を有する製品を恒常的に供給するためのシステム確立・維持について記述している。 |
2010.2.19 原文 |
Q11 |
【原薬の開発と製造(化学物質/生物起源由来物質)】 ・ICH Q8、Q9、Q10の原則と概念(Qトリオ)を、原薬の開発と製造に関連づけて説明している。 |
2014.7.10 原文 |
Q12 |
【製品ライフサイクルマネジメント(PLCM)】 ・医薬品のライフサイクルマネジメントにおける技術上及び規制上の考え方に関するガイドライン。 |
2021.10.29 関連情報 |
Q13 |
【原薬及び製剤の連続生産】 ・原薬および製剤の連続生産の開発、導入、およびライフサイクルマネジメントに関する科学的・規制上の考え方を示している。 |
2023.5.31 関連情報 |
Q14 |
【分析法の開発】 ・分析法開発における科学的アプローチ(分析法ライフサイクルマネジメントの概念など)を示し、より堅牢な分析法の開発を促進する。 |
2025.10.9 関連情報 |
【ポイント】
1. Q12〜Q14導入による「開発から連続生産までのライフサイクル管理」の高度化
近年発出されたQ12(製品ライフサイクルマネジメント)、Q13(連続生産)、Q14(分析法の開発)により、医薬品の品質管理は新たなステージに突入している。特にQ12のPACMP(承認後変更管理実施計画書)を活用することで、事前のリスク評価に基づいた柔軟な変更管理が可能となり、液剤調製や充填といった製造現場のプロセス改善を迅速に進めやすくなった。また、Q13が示す連続生産や、Q14が求める堅牢な分析法は、リアルタイムでの品質保証を前提としているため、機器のオーディットトレイルを含めたより厳格なデータインテグリティ(DI)対応が求められる。
2. Qトリオ(Q8, Q9, Q10)から発展した継続的改善のサイクル構築
Q12以降の新しいガイドライン群は、既存のQ8(製剤開発)、Q9(品質リスクマネジメント)、Q10(医薬品品質システム)といった「Qトリオ」の基盤の上に成り立っている。ガイドラインを単なる規制として捉えるのではなく、これらを統合的かつ戦略的に運用し、逸脱発生時には根本原因究明に基づくCAPA(是正措置・予防措置)を確実に機能させることが重要である。この一連のシステムを製造現場レベルで定着させることが、安定供給の維持や品質不良の未然防止に直結する。