原材料をサンプリングしたら、必要なラベルを貼付し仮保管場所に移さなければならない。
仮保管は、試験が合格して正式に受け入れられるまでの一時的な保管である。
この仮保管場所は本保管場所と明確に区別する。部屋、棚、場所を変えることが望ましい。
さらに、区画棒、色分け、表示分けをして、仮保管品が間違って使用されることがないように工夫する。
受入れ検査試験に合格した原材料には、QAが発行した試験合格ラベルを貼付し、仮保管場所から保管場所に移動させ、本保管とする。
ラベルは、容器の側面など見やすいところに貼付する。容器の上部など、容器が重なると見えなくなるところに貼ってはいけない。
また、原材料容器を積み上げるときには、貼付ラベルがよくみえるように配置する。
受入れ試験が不合格となった原材料には、不合格ラベルを貼って不合格品置き場に速やかに移動させる。
原材料の払出しは、払出し依頼書に従い、先入れ先出しのルールで実施する。
先入れ先出しとは、先に仕入れた商品を先に出庫して、保管している商品の品質が長期保管によって劣化することを防ぐ管理手法である。
原材料の保管環境は、次の点に注意する。
・出入り制限を行う(入出者台帳、自動記録式カード施錠管理など)
・防虫対策(飛来虫、歩行虫の防止対策など)
・温度、湿度管理
・清浄度管理(空中微粒子など)
・微生物 等
これらの項目は、重要度に応じて原材料ごとに保管環境を設定する。
設定は、安定性試験結果、製造条件、原材料規格などを参考にする。
すべての原材料や中間体には使用期限またはリテスト期限の設定が必要である。
原料だけでなくガスケット、フィルター、袋物、ダンボール、乾燥剤などにも使用期限を定めておく。
例えば、一般的に使用されているポリエチレン袋は、大量の可塑剤(かそざい:配合油等)を含んでおり、可塑剤が蒸発揮散して劣化する。よって、ポリエチレン袋にも定期的なチェックと使用期限の設定が必要である。
使用期限は、自社の安定性データや原材料メーカーのデータをもとに設定するのが原則である。
また、原材料期限は最初は「仮設定」とし、再試験で実績を積みながら使用期限を延長していくことも可能である。
原材料管理に必要な文書例を次に示す。
管理作業に関係するSOP、各種記録書、管理文書が必要である。
<SOP>
・原材料の管理手順(総論)
・原材料の品質規格、重要度分類
・原材料識別番号のつけ方
・原材料採用の手順
・原材料の試験方法
・原材料の発注手順
・原材料の在庫と移動の管理
・原材料の受入れから払出しまでの手順
・原材料のサンプリングと保管の環境
・原材料の使用期限、リテスト期限の設定
・不合格原材料および期限切れ原材料の管理(返品、廃棄など)
・危険物取扱い手順
<記録書>
・原材料発注記録
・原材料受入れ、検査、ラベリング台帳
・原材料の保管、払出し台帳
・原材料の返品、廃棄台帳
・原材料製造元の監査記録
・原材料の品質モニタリング記録
<管理文書>
・原材料品質規格書
・原材料リスト
・原材料仕様書
・購買契約書、品質覚書
・委受託製造契約書、覚書
・MSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質安全データシート)