医薬品製造に関わる基礎知識をまとめて紹介します。医薬品をつくるうえでの用語をまとめました。
アクションレベル | 設定された工程管理条件から外れたため、原因を調査し、その結果に基づく措置を講ずる必要があることを示すレベル。 |
---|---|
アラートレベル | 設定された工程管理条件から外れた可能性を早期に警告し、可能性のある問題について検討するための調査を開始するきっかけを与えるレベル。 |
データインテグリティ | データインテグリティ(Data Integrity:DI)は、データ完全性とも呼ばれる。データのライフサイクルを通じて完全で一貫性があることが求められる。医薬品製造においては、データインテグリティの要件であるALCOA原則を守らなければならない。1.Attribute(帰属/責任の所在が明確である)2.Legible(判読/理解できる)3.Contemporaneous(同時である)4.Original(原本である)5.Accurate(正確である) |
委受託製造 | 医薬品の製造販売業者等が、その製造工程の一部を他の医薬品製造業者に委託して行わせることをいう。前者が委託者(Contractor)、後者が受託者(Contractee)である。 |
異物 | 昆虫、ガラス片等、製品たる医薬品を構成する物質以外の物質で、原料や製品に混入、付着しているもの。 |
汚染 | 医薬品の製造、検体採取、包装、保管又は輸送中において生じる、原料、中間体、中間製品又は製品への、化学的又は微生物学的不純物、又は異物の好ましくない混入。 |
規格外 | 品質規格からの乖離。あるいは、定められた判定基準に合致しない検査、測定又は試験の結果をいう。 |
逸脱 | 承認された指示又は設定された基準からの乖離。また、医薬品GMP第15条、治験薬GMP14.1では、製造手順等からの逸脱をいう。 |
逸脱管理 | 医薬品GMPでは、製造手順等からの逸脱が生じた場合の、記録、品質への影響の評価、所要の措置等をいう。 |
回収 | 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造販売業者、外国特例承認取得者又は輸出用の医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造業者が、製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を引き取ること、又は当該医療機器を改修すること。ただし、「在庫処理」及び「現品交換」を除く。 |
完全性試験 (滅菌用フィルター) |
細菌のチャレンジ試験によって測定される、フィルターのろ過滅菌性能を非破壊的な方法で予測する方法をいう。 |
完全性試験 (無菌製剤の容器) |
無菌製剤の容器が密封状態にあり、製造から使用に至るまでの間、微生物汚染を防止できることを保証するために実施する試験。 |
空気の清浄度レベル | 製造区域の空気の清浄度と1立方メートルあたりに含まれる0.5μm以上の微粒子数の最大許容値によって規定したもの。グレードAからグレードDまでの4段階で表される。 |
クリーンルーム | 空気中における浮遊微粒子数及び微生物が、限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水等についても、要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力等の環境条件についても管理されている空間。 |
HEPAフィルター(へパフィルター) | 定格流量において、0.3μmの熱発生DOP粒子又は指定された代用エアロゾルに対して、最低99.97%の捕集効率を有し、初期圧力損失の最高値が25.4mmH2O以下で、丈夫なフレームにろ紙を折り込んで取り付けた、使い捨ての乾式フィルター。クリーンルームの換気装置の最終エアフィルターとして用いられる。 |
原料 | 製品(医薬品、治験薬等)の製造に用いられるものであって、資材、中間製品を除くものをいう。 |
交叉汚染 (クロスコンタミネーション) |
医薬品の製造工程において、原料、中間製品、最終製品が他の原料や製品等により汚染されること。(医薬品GMP第9条第5号他) |
校正 (計器の校正) |
必要とされる精度を考慮し、適切な標準器、標準試料等を用いて計測器の表す値と真の値との関係を求めること。(医薬品GMP第10条第8号) |
中間製品 | 医薬品の製造の中間工程で作られたものであって、以降の製造工程を経ることによって、製品となるものをいう。 |
最終製品 | 市場に流通する形態の製剤。 |
資材 | 医薬品等の製品の容器、被包及び表示物(添付文書を含む)をいう。 |
収率 | 収率(%)=(収量÷理論収量)×100で表される値。理論上得ることが可能なその物質の最大量(理論収量)に対する実際に得られた物質の量(収量)の比率である。そのプロセス(医薬品製造)がすぐれているかどうかの指標の一つとされる。 |
署名(サイン) | 特定の措置又は照査をした者の記録。この記録には、イニシアル、完全な手書き署名、個人の捺印又は本物であることが証明され、保証された電子署名等がある。 |
清浄度 | 対象物の清浄状態を表す量をいい、一定面積又は一定体積中に含まれる汚染物の数又は質量によって表す。 |
製造管理者 | 医薬品の製造を実地に管理するため製造所ごとに置く。一部の品目を除いて薬剤師でなければならない。また、生物由来製品の製造管理者は、厚生労働大臣の承認を受けた医師、細菌学的知識を有する者その他の技術者でなければならない。 |
製品標準書 | 製造業者又は外国製造業者が製品ごと、製造所ごとに作成し、品質部門の承認を受ける、当該医薬品の製造販売承認事項、製造方法及び製造手順、表示材料及び包装材料の規格等を記載した標準書。その記載内容には、原料の標準的仕込量とその根拠、工程検査、自主的に設定した規格及び試験方法、中間製品・製品の保管条件、GQPに基づく製造販売業者との取決めの内容等が含まれる。製造等が複数の製造所にわたって行われる場合には、当該製造所が行う製造工程や保管・出庫業務等に係る製造管理及び品質管理に必要な事項を記載すればよい。 |
製造指図書 | 製造部門が作成する製造工程における指示事項、注意事項等を記載した指図書をいう。原則としてロットごとに発行し、医薬品の名称、剤型、外観、ロット番号又は製造番号、原料の名称及び配合量又は仕込量、各製造工程における中間製品又は製品の理論収量又は標準収量、各製造工程における作業上の指示又は注意事項、資材に関する指示又は注意事項等が記載される。 |
製造記録 | 製造部門が作成する製品(中間製品を含む。)の製造に関する記録。製造作業が製造指図書に従って行われたことを記録するものであり、製品の名称及びロット番号又は製造番号、製造工程名及び作業年月日、使用した原料の名称とロット番号又は製造番号及び配合量又は仕込量、使用した資材の名称と管理番号及び使用量、各製造工程における出来高量及び理論収量に対する収率、製造工程中で製造部門が行った試験検査の結果、試験検査の結果が不適であった場合に採られた措置、記録者名、記録年月日等が記載される。 |
製造用水 | 医薬品や医療機器等の製造、設備・器具・容器の洗浄等に使用される水。 |
超純水 | 蒸留及びイオン交換を行い、さらに逆浸透や限外ろ過等を行って高度に精製した水。 |
洗浄 | 水や洗剤等を用いて、意図する使用に必要な程度まで対象物から汚染を除去すること。 |
電子記録(電磁的記録) | コンピュータシステムで作成、変更、維持、保管、検索又は配信される文字、数値、画像等の電子化されたデータを含む情報の集まり。 |
電子署名 | 電磁的記録に対し、手書き署名又は捺印と同等のものとして行われる署名で、個人又は法人が作成、採用、確認、承認する一連の記号を電子化して構成したデータ。 |
バッチ | 一工程又は一連の工程で加工され、定められた量の原料、包装材料または製品であって、均質であると考えられるもの。一つの生産サイクルで一度に生産される単位を意味している。 |
ロット | バッチのうち、さらに特定の条件で同一の特性・品質を持つことを意図して生産される単位。一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品、中間製品及び原料の一群をいう。 |
ロット番号 | ロットを識別する数字、文字、記号の特有の組み合わせ。これにより生産及び流通履歴が判別できる。 |
ヒューマンエラー | 人為的な誤り。意図しない結果を生ずる人間の行為。例えば、製造工程における作業者の作業方法の誤りや原料の取り違えなどをいう。 |
プラントツアー | 査察において、査察官が製造所内を巡り、構造設備や製造・試験検査業務の実際等を調査すること。 |
滅菌 | 物質中の全ての微生物を殺滅又は除去すること。その状態は、無菌性保証水準で表される。 |
DPI製剤 | DPIとは「ドライ・パウダー・インヘラー:Dry Powder Inhaler」の略語。ステロイド薬などを、粉末(ドライパウダー)にして吸入できるようにした薬。「ドライパウダー定量吸入器」とも呼ばれる。 |
スプレードライ法 | 造粒方法のひとつ。薬物と添加物の混合物の溶液または懸濁液を熱風とともに細い孔径のノズルから噴霧し、チャンバー内で微小な液滴とし、短時間で乾燥させる方法。連続的に大量生産でき、コストも安いことから、粉乳、インスタントコーヒー、粉末調味料など、食品関係でも広く用いられている。 |